彼が年間予算を検討するわけ
新しい法律の施行内容や、国家資格の受験合格者名、企業から届け出られた合併に倒産それから決算内容報告、失踪宣告、破産者の住所氏名とその法的債務処理を誰が行うか、そんなありとあらゆる諸々までが報道されている。
一般に目にすることは少ないが、きちんと書店で売っていることもあるしネットで確認することが出来る。国立図書館なら必ず置いてあったりする。
真実、官公庁の報道で、後ろ暗いところがないと主張せんばかりのいろいろだ。
・・・公正明大過ぎて泣けてくる。
「入札してるのもあるし、随意契約でも大型の機械ってちゃんと報告するからさ。きちんと毎度調べてりゃ、わかっちまうんだよなー、はは・・は・・。」
怪盗キッドはその神秘性など山の向こうに捨てたような俗っぽさで、手の内を明かしてくれやがる。
「あー、まー、手品の種ってなぁ、知っちまうと悲しいもんだよな。ああ。」
頭をがしがしとかき回して、オレは肩を落とす。
ああもう、コイツを捕まえるための機材なら、秘密裏に一から作り上げるしかないらしい。
親父に借金してでも、灰原と阿笠博士に、年間予算をつけた方がいいかもしれないと、オレは本気で計算するのだった。
作品名:彼が年間予算を検討するわけ 作家名:八十草子