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ケンカップルとサンドウィッチ!

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 今日も今日とて、日常と非日常が交錯する街、池袋。
 下校途中、少し遊んで帰ろうという話になり、帝人、正臣、杏里が西日に照らされる60階通りをぶらついていると、偶然にも門田達と出会った。渡草をバンに待たせ、いつものようにグッズや本を買い込んでいたらしい。
 最初は、なごやかに当たり障りのない世間話をしていた――はずだった。
 しかし、いつのまにか、
「世の中には、色々なカップルがいるの。性別だけでも男×女、女×男、男×男、女×女。そこに色々な個性を持ってくるんだから、当然だよねー!」
狩沢による、謎のお勉強会が始まっていた。
「個性というなら、やっぱり、ツンデレは外せないっすねぇ」
「素直クールもね! ヤンデレも悪くないけど。ただし、イケメンに限る」
「いや、男がやるとただの犯罪者っすよ。そこは、可愛い女の子、百歩譲って男の娘に限定したいところっす。そもそも、ヤンデレは――」
 次第に苛烈化していく狩沢と遊馬崎の会話についていけなくなった帝人たち3人は、ワゴン組の良心である門田の方を見た。
「お前ら、聞き流していいぞ。・・・・・・むしろ、聞き流してくれ」
 門田が苦虫を噛み潰したような表情で狩沢と遊馬崎を睨めつけながら、すまなさそうに言った。3人は苦笑、もしくは申し訳なさそうな表情で頷く。
 5分ほど、オタップル(付き合ってないらしいので(仮)としておく。)の日本語とは思えない言葉の押収が繰り広げられたが、「お前ら、いい加減にしろ」という門田の言葉もあり、最終的に、レザーソーと空鍋は最強、『みーまー』実写化に戸惑いを隠せないという話に行き着いて一段落した。
「――それで、まぁ色々カップルがいるわけだけど」
 コホンと咳払い一つ。そして、狩沢は帝人たちの後方を指差した。
「最近、萌えるのはアレね」
 帝人たちが後ろを振り向いた瞬間――。

 ドガッシャアアアアアアン!!

 車同士が正面衝突でもしたのかと思わせるような破壊音。続いて、何者かの咆哮と笑い声が響いた。
 それらが何を意味するのか。池袋にいる殆どの人間は知っている。
「まーた、性懲りもなく臨也さんが来たのか?」
 正臣が、まるで家庭内の暗く湿った場所を好む、黒くてギトギトと油光りしていて足が速くて時々飛んだりする名前を言ってはいけない例のアレを見た時のような表情で言った。
「まったく、仕方ねえな・・・・・・」
 呆れかえって溜息をつく門田に、帝人は「そうですね」と同意しながら、「――けど、すごいです」と心なしかワクワクした声で呟いた。そして、ハッと気付いたのか狩沢の方を振り返る。
「狩沢さんの言うアレって、もしかして・・・・・・」
「そだよー。シズちゃんとイザイザのこと。てゆーか、あれを代表格とするケンカップルよ!」
 帝人の引き攣った笑顔に、狩沢は満面の笑みでもって答える。
「えっと、あの・・・・・・ケンカップルって、なんですか?」
「言葉通り、ケンカばかりするカップルのことっすよ」
 杏里の質問に遊馬崎が答えると、狩沢は「そうなの!」と拳を握った。目は異様なまでに爛々と輝いている。
「いつもいつもいつも、会えばケンカばっかり。会話すればいつも最後は口論に・・・・・・。それでも根底にあるのは愛なのよ! 愛!! 愛ゆえにぶつかりあい、愛ゆえにけなしあうの! そして時々、素直になれない自分に嫌気がさしたりするのよ。あぁ、もどかしい・・・・・・! ケンカップル、ラブ!! 私はケンカップルに萌えている!」
「いや~、どう見ても俺には、マジな殺し合いしてるようにしか見えないんすけど・・・・・・」
「安心しろ、紀田。俺にもそうとしか見えん」
「愛・・・・・・ですか。えっと、すごいと思います」
「あの、園原さん、多分感心しなくて良いと思うよ?」
「ルイズとかシャナとか大河とかハルヒとか、ケンカップルはツンデレキャラ多いっすから、萌える気持ちは分からなくもないっすけど、BLはないっすねぇ・・・・・・」
 それぞれが微妙な反応を見せるも、馬耳東風。
 いかに静雄と臨也、あるいは、臨也と静雄(と、狩沢は敢えて名前を入れ替えたが、その理由を知ってはいけない気がした者たちは、それに突っ込むことはしなかった。)にボーイズにラブる要素があるかを語り、2人にケンカップルの太鼓判を押す理由を、まるで演説家のように朗々と語った。
「絶対ボーイズにラブってるよ~。あの2人!」
 未だ罵声と物が飛び交う方角を見て、ニャマリと口元を緩める狩沢は、とても生き生きしている。
「うーん・・・・・・。でも、あの2人、ボーイって年じゃない気がするけどなぁ」
 長々とした狩沢の演説を聞いて一同がグッタリする中、少し回復した帝人は素朴な思いを口にした。
「いやいやいや、帝人く~ん? 突っ込み所が斜め上いってるぞ?」
 あの演説を聞いて気にするとこがそこかよ!? と正臣が呆れ気味に突っ込む。帝人は、少し気恥ずかしそうにムゥッと唇を尖らせた。
「でも、そう思わない? ――あぁ、でも、臨也さんは永遠の中2病患者っぽいし、そういう意味じゃボーイで良いのか」
「そして、サラッと暴言!? あのなぁ、帝人、気をつけろよ。もし、臨也さんに聞こえたらどうなるか――」



「ん~。聞こえたから――――どうしちゃおっか?」



 帝人たちの背後から、涼やかな声がした。