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月がとっても碧いから

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『パチ』と勢いよく目が開く。佐助と目が合い、そして更に大きく見開かれる。両者とも真っ赤になって、ようやく慌てた佐助ががばっと離れると、同時。
「さ、さすけぇ。は破廉、いや、愛しておるぞぉぉおっ」
佐助も、見守っていた慶次もぎょっとするような大声だった。
これは城中に響き渡ったね、なんて慶次が遠い目で呟いているのが聞こえてきた。冗談じゃない。何て事してくれてんだ。
「旦那、もう一回眠って貰おうか。もう起きなくていいからね?」
懐から何か取り出そうとする佐助を慶次が咄嗟に間に入り事なきを得、幸村がひたすら平謝りする事で漸くその場は収まることとなった。


――― 俺様は忍。なのに何故か忍以外の仕事が山詰みなんだよね。そして今日、また新たな仕事が加わった。それは「旦那の更生計画!」。これが今の俺様の最重要任務。これはさっき大将にも宣言してきたし。「ほう。できるかのお?」なんて笑ってたけど、旦那は何か勘違いして道を誤っているんだ。俺様がきっちり更正させてみせる。見ていてください大将!! ―――



 またまた私、信玄様にお仕えする者です。幸村様が目覚められたことで、城の中も漸く落ち着きを取り戻してまいりました。幸村様の様態も快方に向かっていらっしゃいます。猿飛様の看病の賜物でしょうか。さすが、愛の力です。
前田様もあの後すぐに「いいもん見せて貰ったよ」なんておっしゃって帰っていかれました。猿飛様は何やら更生計画を画策されているようですが、どうなることやら。今後の二人から私、目が離せません。
さて、そろそろ外も暗くなって参りました。今宵はどんなお月様が昇られますか。それではこの辺で失礼致します。


上田の空高く、今宵も碧く静かに輝く月が昇っていた。
作品名:月がとっても碧いから 作家名:pyon