愚かしくも愛おしい
眦に指を滑らせれば、擽ったそうに蒼の眸が細まる。
「臨也さん」
甘い声が耳に浸食する。
ああ本当にこの子が自分だけのものになればいいのにと、子供がそれをけして望んではいないと知っていても臨也はそう想う。
想い続ける。
「臨也さん、あの国は、」
問う唇を、掌で覆い閉ざす。
「君にはもう関係のないことだ」
過ぎゆくものなど気に留めることなどしなくていい。
君の心に住まわせなくていい。
「他人の為に君が生きられないのなら、君は君自身の為に生きればいいんだ」
賢くも愚かしくそして愛おしい子の身体を臨也は縋りつくように抱きしめた。
問うて問うて問うて、なのにまだ応えはなくて。
嘆き苦しみながら前を向く、その存在を、俺は愛しているのだ。