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【DRRR】はろー*はろー*はろうぃん 【帝人総受け】

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「…………」
「帝人、おーいみっかどくーん?」
「…………脱いでいいかな?」
「ちょまちょま、公然猥褻罪での逮捕歴はさすがに作っちゃいかんよ帝人くん!だいたいそれ、帝人があんまりにも文句言うから直前で取り替えたんだぞ?」
「竜ヶ峰くん、似合ってますよ」

控えめに笑って褒めてくる杏里の格好は、全身真っ黒でピッタリとしたラバー製の生地が全身を包んでいる状態だ。全身黒のライダースーツを模したものであり、それは言ってみれば全身タイツに近いため、体のラインが出て下手に肌を露出しているよりも色気がある。
頭には、猫耳型の突起をつけたヘルメットを被っており、カボチャの置物を模した柄のそれはいかにも愛らしい。

「園原さんは凄く似合ってるよ」
「だよなー!!去年がまさにロリエロいところだったが、この1年の間に杏里はさらにマジエロいというレベルまできて、恐らく来年あたりにはエロエロしいという境地に達するに違いない!」
「何その日本語」

でも確かに理解は出来た。
帝人のクラスの半分以上の女子および男子がこの黒のライダースーツを着用しており、たまにフルフェイスのヘルメットを被った本格派までいたが、そのどれよりも杏里は色気がある。
それは、いつも控えめできっちりと制服を着込んでいる彼女が違う服装をしているということもあるが、やはりその体型が隠せない事実である。

そして、楽しげにそれを指摘する正臣は、対象的なほど一般人だった。
と、いうかただのアルバイト店員にしか見えない。
化粧で浅黒く肌を塗り、青いラインの入ったハッピを着て、紺色のニット帽の上にねじりハチマキを巻いている。その背中には『スシ喰う、イイヨー』と書き込まれていた。小道具に、実際に頼んでもらってきたビラの束まで持っている。

つまり、どういう状況かといえば、こういうことである。
来羅学園に来ているのは、元々東京住まいの人間もいるが、帝人のように地方から出てきたものも多い。そういう者は今年がハロウィンデビューになるものも多く、やりたいような気後れするような気持ちが大きかった。ならば、クラスを挙げて同じコスを作ってみてはどうかということになった。それなら下手に浮くこともないし、乗り気でなかった者も自然に参加できる。
その題材として、すでにハロウィン慣れした学生たちから挙がった案がこの。
『都市伝説コス』
である。

それぞれのイメージする都市伝説、として最も多いのはもちろん首なしライダーだ。
そこで、クラスの半分がそうなった。
次に想像されるものと言えば、…喧嘩人…いやいや、賛否両論となり、結局、大ヒット映画、『吸血忍者カーミラ才蔵』で羽島幽平が演じたカーミラ才蔵に落ち着いた。
そして残りの女子は、聖辺ルリが彼女の写真集内でも有名な1枚で着ていた、ゴシックな格好を参考に黒くてフリルのついた服を作った。

……そして当初、帝人はその、聖辺ルリの仮装に組み込まれていた。

知り合いの格好は抵抗があるとかそういう思いから、いろいろと理由をつけて全てのコスチュームに対しごねたのは自分の非ではあるが、もう少しで出来上がりというところで正体が明かされたときには、さすがにドン引きした。
女装って、いくら何でも女装って!!
絶対に吸血忍者カーミラ才蔵だと思ってたのに!!

帝人があまりにもショックを受けたため、かなり乗り気で作っていた正臣はもう1つの案を取り出した。こちらは制服に少しアレンジを加えるだけだ、と説得され、自分もその関係の人にするから、と言い含められ、そしてこうなった。
確かに、確かに都市伝説かもしれないが、いくら何でもこの2人はないと思う。

正臣は、ロシア寿司のサイモン。
帝人は…、池袋の喧嘩人形、平和島静雄。

「いやいやいやいやいや。さすがに無い、コレは無い」
「もうこれ以上の変更はきかないぞ~!ただでさえもう1着おじゃんなんだからな!」
「それはもう正臣のクラスの女子が着ることで落ち着いたじゃないか!!それより、僕は知り合いの格好をするのだけは勘弁してって最初に言っただろ!」
「いやほら、俺も知り合いの格好。な?」

帝人は頭を抱えて机に突っ伏した。
本当に理解できない。
しかし理解できないのは何も正臣のことだけではなかった。
ダラーズの掲示板を見ていると、平和島静雄の仮装をするという人が案外多く、それも添付された写真を見るに、ただのバーテン服とは違い、完全に静雄、とわかる出で立ちをして池袋にいるのだ。
その違いは何かと言われればサングラスと金髪ぐらいなのだが、その存在を知っているものであればすぐに見分けがつく。
本物の平和島静雄が普通に生活している街中で本人のコスプレをするなんて、いったいどういう心境なのだろう。自分には全く理解できない。
ダラーズ掲示板内では、本人の怒りを買わないか、などの論争にも発展していたが、平和島静雄の近くを実際に通った人がおり、当の相手も仮装をしている上、特に気にされなかったとの書き込みが入る。

静雄さんまで仮装!?

帝人は感じていた。
こんな非日常は、自分の望んでたものとは、……絶対に違うと。

「ようし、みんなでサンシャインあたりまで繰り出すぞー!」
「おおお!」

正臣がいつの間にやら自分のクラスの先導を取って、妙なことを口走っていた。
本当は自分がクラス委員長だったはずだが、こういう時にはなぜか正臣が飛び出して指揮をとってしまう。
というか、何て言った?

「ほら、帝人も行くぞ。街に出ないと仮装した意味ないだろ」
「いやいやいや。着替える、僕は着替えていく。もしくは学校から出ない!」

万が一にも静雄本人に出会ってしまったらどうするんだと、帝人は激しく抵抗する。
しかし、本来この仮装は池袋の待ちに出て、街ぐるみで行われているハロウィン・パーティーに参加するために行っているものだ。街に出れば、他にもたくさんの仮装した人々がいて、撮影するTVカメラやや、観察に来ている観光客までいる。あちこちの店舗では仮装した人に対して、お菓子を配ったり、クーポン券を渡したりといったサービスも行われ、本当に大きな祭りの状態だった。

「こんだけ人がいるんだから、見つかりゃしねーって!」
「正臣は軽々しすぎるよ!!」
「竜ヶ峰くん、サンシャイン水族館の半額券が貰えるそうなんですが、行きませんか?」

杏里が嬉しそうに言うと、さすがに断り難い。

「お前どうせソレ、髪も染めてないんだし、蝶ネクタイとサングラスさえ取ればほぼ普段どおりの制服と言えなくもないって。ホントに静雄を見かけたら取りゃいいだけだろ」
「…確かに」

確かに、いつものカッターシャツに借り物のベストと借り物のズボンを履いているが、それは普段の制服とあまり差異はなく、100円均一で購入した黒の蝶ネクタイと青いサングラスさえ取れば、仮装という雰囲気は全くなくなる。
杏里もその意見に頷いた。

「…それも、そうか…」

いつまで経っても自分が駄々をこねるわけにはいかない。
クラスの人々に声をかけるのは自分の役目とばかりに、帝人は少し大きな声をかけた。
池袋の街に繰り出すために。