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N・N・N

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それはトグサが。9課フロアに置いてある自販機の前で、数種類あるコーヒーのどれを飲むか悩んでいた時のことだった。
「トグサじゃねえか。そんな所に突っ立ってなにしてんだ?」
「ああ、別に大したことじゃ――」
 後ろから掛けられた声に、トグサは振り返りながら言葉を返そうとして――硬直した。後ろに居たのは、バトーだった。それは別に問題ない。そもそも、掛けられた声で既に解っていたことである。だが、一つおかしいものがあった。バトーの頭に、それは立派な耳が二つ、ついているのである。もちろん人間の耳ではない。それも付いている上で、さらに頭頂部付近に、おそらくはネコ科のものだろう灰色の毛並みの耳がくっついているのである。バンドかカチューシャか何かでくっついている様子もないが、まさか頭から生えているのだろうか。初めからそこにあったかのように、その猫耳は自然におさまっている。トグサは先ず自分の電脳がハックされたのではないかと疑ったが、そういった気配はない。遅行性のウイルスかもしれないとサーチシステムも稼働させてはみたが、結果はオールグリーンだった。
 不自然に語尾を切ったトグサを不審に思ったのだろう。バトーは眉を顰めてトグサを見返した。
「どうしたんだよ」
「どうしたもなにも……ダンナこそ、それ、どうしたんだよ」
「それ?なんのことだ」
「その耳だよ!猫みたいな耳!」
 素で解らないという風に首を傾げるバトーに、トグサは思わず声を荒げながらその耳をビッと指でさした。バトーは「これか?」といいながら自分の頭に生えた耳を触る。その様子は至極普通で、耳の存在に対しなんの疑問も覚えていないように見えた。
 そして次に発せられたバトーの言葉で、トグサの脳は完全な混乱状態に陥った。
「なんで今更。みんな生えてるもんだろうが」
 さらりと告げられ、トグサは全身がまるで鉛になったかのような感覚を覚えた。義体の感覚も初めはこんな感じに思うんだろうかなどと、全く関係のない現実逃避な思考がおもわず働く。
数秒でなんとか衝撃から立ち直ったトグサは、頭を大きく左右に振ると、噛みつく様な口調で言った。 
「……な、何言ってんだよ、旦那!あんた、電脳をハックでもされてんじゃねえの?」
「お前ェこそ何言ってるんだ、急に」
「あんたがそんな不似合いな耳をぶら下げてりゃあ言いたくもなるさ!」
作品名:N・N・N 作家名:和泉せん