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降伏宣言

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帝人は臨也が好きである。
それは事実であり、帝人はそれを自覚しているし、臨也は理解している。
しかし、帝人は普通に臨也に好きだと言った事は無かった。

付き合うことになった時にも、好きだとは言わずに恋人になった。

だからその時に臨也は帝人に好きだと言わせようと決心した。
しかし、それは適うことなく時は過ぎていった。

対して臨也は帝人へ毎日の告白は続いている。
それに対する帝人の対応は「はい」と言うだけで、付き合う前よりも対応が悪くなっているようだった。

エッチの最中に好きだと言わせたことは何度もある。
臨也の方が経験豊富で、帝人の身体を開発したのも臨也だ。
帝人の快楽について知り尽くしている。
それを駆使して「好きって言ってくれなきゃイカせてあげない」と条件を出して「いざ、や…さん…す、すき、だからぁっ!」と望む言葉を言わせている。

ただ、それをやるとその後の帝人の機嫌は悪くなった。
だからあまりやらないようにしようと思うのだが、帝人の口から「好き」という言葉が出ることを望んでしまう。


そんな関係の二人である。

それなのに帝人が「好きです」と唐突に言った。
臨也が唐突に帝人に「好き」と言うのは二人にとって日常茶飯事であった。
しかし、この事態は初めてだ。
よって、臨也の笑顔が凍った。


「帝人君」
笑顔を凍らせたまま臨也は声を振り絞った。
「はい、なんでしょう?」
対して帝人は淡々と応える。

「なんでなんでなんでなんで!?」
臨也は柄にも無く笑顔を取り去って取り乱した。

「僕が臨也さんに好きだって言うのはダメですか?」

「ダメじゃないよ!?ダメじゃないけど、なんで今?なんで言ってくれようと思ったの?」

「臨也さんの驚いた顔が見たくて」

帝人はからかうような様子でもなく、ただ真っ直ぐ臨也を見てそう告げた。
その目は臨也が好きな意志の篭もったものだった。

「臨也さんが驚くのって少ないじゃないですか。それを見たいなぁ、って思ったんです」

臨也は確かに誰かに驚かされることは少ない。
その逆は数え切れないくらいだけれど。
しかし、帝人の言動には多く驚かされていると自覚している。

臨也はそれが嫌だとは思ったことはない。
むしろ、そこが好ましいと思っている。
思ってもいないことをされると楽しくて、ずっと見ていたいと願うことになる。

「嫌でしたか?」

帝人は意志の強い目を少し揺らしながら聞いた。
まさか不安になっているとでも言うのだろうか。

「俺が帝人君に好きだって言われて嫌だと思うと思う?」

大きな瞳を瞬かせてから目線を上に向けて少年は答えた。
「思わないです」

「正解だよ」
青年は笑顔で言った。
「俺が帝人君に好きだって言われたら、それがどんな理由であれ喜ばないはずがない。それを帝人君は理解するべきだ。俺がどれだけ帝人君を好きなのかまだわかっていないのかい?」
俺を利用するためだけに好きだと告げても構わない。
それをわかっても、俺は帝人君に綺麗に利用されてみせようじゃないか。
それほどまでに臨也は帝人に恋焦がれている。

「臨也さん」

「なんだい、帝人君。好きだよ」

「僕も臨也さんが好きです」

告白に告白で帝人は返した。
そして、帝人は誰に強制されることも無く自分から目の前の青年にキスをした。
そのキスは軽く触れるだけのもので、いつもしているものとは比較にならないくらい可愛らしいものだった。
しかし、青年は初めてキスした時よりも大切に思い出にしまいこんだ。
初めて少年は青年に自分から進んでキスをしたのだから。

「また驚きましたね」

臨也は、目の前の少年が小悪魔に見えてしょうがなくなった。
この子、絶対にさっきと同じ理由で俺にキスしたんだ。
驚いた顔が見たいって、それだけの理由だ。
初めて帝人君からキスしてもらったのに、何その理由。
もっと、キスしたくてしょうがなくなった、とか甘い理由は無いの?
何か言いたいけれど、何も言えない。
この折原臨也がここまで他人に振り回されるなんて。
君だけなんだよ。わかってるのかな?わかっててやってるのだとしたら危険指数は急上昇だ。

作品名:降伏宣言 作家名:彼方