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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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はっぴい・はっぴい・ばーすでー <後編>

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哀愁を漂わせて立ちつくすツナヨシの肩をポンと叩いたのは、<晴>の守護者、笹川了平だった。日頃からド・ピーカンな彼は今日も変わらず極限にズレた祝福を贈る。
「サワダ、今日は極限にめでたい。いよいよお前もボクシングに目覚めてきた年頃だろう。そこでだ、オレからはこれをやろう」
そう言い放つと了平は肩に担いでいた荷物もとい、プレゼントをドスンと床に降ろした。その物体を目撃した瞬間、ツナヨシはあわてて了平に詰め寄る。
「ちょ、了平さん!何を持って来てるんですかっ!」
「ん?これか?サンドバックだが」
床にドデンと置かれたソレからは、禍々しく不吉なオーラが漂い溢れている。
強化ビニール製の耐久性、防水性に非常に優れたジッパー付きの黒い袋。それはちょうど人が一人収まるサイズだったりする。
(いや、どう見ても遺体回収袋にしか見えないんですが・・・)
しかも、でかでかと『GIS(イタリア国家憲兵カラビニエリ・特殊介入部隊)』のペイント入り。
ホントにどっから持ってきたのだろうか。
呆れてげんなりと尋ねるツナヨシに晴の守護者は得意げに答える。
「サンドバック?これがですか?」
「うむ。パオパオ師匠直伝の特別品でな。これがあればどんな所であってもトレーニングが可能なのだ!」
(リボーンめ、余計なことばっか吹き込みやがって・・・)
タチの悪いジョークをこの上なく好む元・家庭教師に悪態をつくと、諦めたツナヨシは了平と遺体回収袋、もといサンドバックに向き直った。
「それにしても、ずいぶんズッシリしてますね。これ」
「そうだろう。何しろ普通の三倍の砂が入っているからな!!」
「・・・は?いや申し訳ないですが、そんなのオレ、使えませんよ」
「なにぃぃーーー!ボクシングへの熱い想いがあればこれくらい。見ていろ!サワダ
はぁぁぁ・・・・・極・限・太・陽(マキシマム・キャノン)!!」
「わっ、ちょっと待ってくだ・・・」
了平はサンドバックを頭上に放り投げると右半身を後ろへ引き力をためる。そして全身のバネを活かして拳をそれに打ち込んだ。
――――スバンッ!!ドスン!ズザザザーーーー
極限の威力を誇る一撃は見事サンドバックを粉砕。床に落ちたソレは数回バウンド、のち転がって沈黙した。さながら血のごとく、周囲に砂をまき散らしたソレになにやら深く同情してしまうツナヨシなのだった。
「ぬおおぉぉぉぉ!なぜだぁぁぁ」
(なぜって・・・そりゃ三倍も砂を入れたら袋の強度が落ちますよ。なおかつ、アナタのマキシマム・キャノンなんてくらったら)
頭を抱えて悶絶する了平には悪いが、心底ホッとしたツナヨシなのだった。
(だって、こんなのもらっても困るし!)
だが、サンドバックからあふれ出した砂はあたりの守護者たちも巻き込んで。
「うおっ!てめぇ芝生!何やってんだ」
「相変わらず激しいのな先輩」
「んひゃひゃひゃ、砂場なんだもんね~ランボさんお城作るんだもんね」
「料理が・・・」
さらに賑やかさを増した会場で、ツナヨシは再びため息をついたのだった。


と、そこに。
「ねぇ、君たちいったい何の騒ぎ?誰の許可を得て群れてるの?」
「ひ、ヒバリさん!!」
カツコツと会場に入ってきたのは、我が道を往くツナヨシの<雲>守護者、雲雀恭弥だ。
彼はぐるりとあたりを見回すと、わずかに口角を持ち上げた。
「ふうん。ツナヨシ、キミ今日が誕生日なんだ?」
「は、はい。一応・・・」
「じゃ、ボクからも特別にプレゼントをあげるよ。熱烈にキミを祝う一撃をね」
「ひぃ!いや、アナタの一撃って、ナチュラルに死にますから!!丁重にご遠慮申し上げます・・・って聞いてます?ヒバリさん!!」
「いくよ!」
聞く耳持たず。相変わらず我が道を往き過ぎる雲の守護者は両手にトンファーを構え、上体を沈めると一気にツナヨシの間合いに詰め寄った。
空間を薙払うような一撃。繰り出されるトンファーを右に左に、ツナヨシはからくもかわしていく。ヒュッと耳元で風切り音。同時にハラハラと数本髪が宙に舞う。
「は、ふっ、ひぃぃぃいいいい!」
容赦のない連続攻撃。
避けるだけで精一杯のツナヨシは、次第に壁際に追いつめられてしまう。
――――ガスッ!!
青ざめるツナヨシの左頬をかすめてトンファーが壁に突き刺さった。
背中には硬い壁の感触。まさしく絶体絶命のピンチだ。
「ねぇ、ツナヨシ。まさかボクの祝福だけ受け取れない、なんてことないよね?」
ツナヨシのすぐ間近には、優美な弧を描く口元。楽しげに輝く漆黒の瞳。
美しすぎる極上の笑みを浮かべて、雲の守護者は甘く囁く。
(ひぃ!近い、近い、近いです!!)
もったいないほどの、十分すぎるほど目の保養なのだが。
いかんせん、危険すぎる状況だ。
逃げようにも左右両側をトンファーでふさがれて、身動きができない。
腕の中で怯えるツナヨシを見つめると、獲物を追いつめた狩人はフッとわらう。
ヒバリの吐息が鼻先をくすぐって、ビクッとツナヨシは身をすくめる。恐怖なのか何なのか、背筋をビリビリと電流が駆け抜ける。
「んぅ!」
「ねぇ?ツナヨシ・・・」
愉しげに、愉しげに、彼は囁くと、ゆっくりと顔を近づける。
(や、もう、限界!!誰かなんとかしてーーーーー!!)