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キリングミーソフトリィ

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彼は自分の定規で世界を測り、その合わないことに首をひねって世界を自分に合わせようとする。
彼こそ人外の魔物だ、人の形をとってはいても人の心や痛みを理解しない。
きっと理解する器官がない。
自分にないものに触れたがる稚気はあるが、その「触れる」は「人の体に手を突っ込み内臓を握る」に等しいものだと理解しない。
彼に裁かれたら絶望するしかない。
どうしようもなく身にしみていて、それでも目をそらし続けてきた自分の弱さが、醜さが、愚かさが、全て白日のもとに晒されてしまう。
そして、冷静にそれを分析し、面白がる口調で、なぜこんな馬鹿なことをしたのか一から聞かせてくれと言われるのだ。
「殺せ・・・」
私は呟いた。
彼の心外そうな声が降ってきた。
「何も泣くことはないではないか、いい大人がみっともない。私はただ、尋ねただけだよ」
殺すつもりなんてない、という補足は、殺すだけの価値もない、と聞こえた。
「泣かなくてもいい。教えてくれ。君はなぜそんなにもザトーに執着する?」
ザトーの期待を裏切り、自分に都合のいいザトーしか見てこなかった君に、涙を流す資格はあるのか?
「分かっていないのかね、裏切ったのは君だ」
君がはじめたんだ。
吸血鬼は噛んで含めるように言った。
「つまり、望んだのは君だ」
そんなことはない。けれど何もかもどうでもいい。
私は床に散らばる自分の髪を見つめながら、それを踏みにじる彼の靴を見つめながら、もう記憶の中にしか存在しない私の主人の見事な金糸を見つめながら、その全てを消し去りたいと願って目を閉じた。
「殺せ」
お前に慈悲があるなら。