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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記7

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「あっ!!大変っ!!」
突然早苗が何かに気づいたように叫んだので、神奈子と青蛙神はギョッとなって早苗のほうに顔を向けた。
「どうしたんだい?早苗」
「私、今日は人里へお買い物に行こうと思っていたんです。ちょうど家で食べる食材が無くなってきていたので。ですから、今日のお夕食の用意もしてないですし、食材もありません」
何かと思えばそんなことか。神奈子は安堵と何かを含んだ溜息をついた。
「だったら博麗神社の帰りに人里へ寄って、惣菜か何かでも買えばいいよ。早苗、金は持ってきているんだろ?」
「はい。一応お財布は持ってきていますけど」
そう言うと早苗は腕に下げていた大きめの巾着の中から赤色の蝦蟇口を取り出して見せた。
念のために教えておくけど、幻想郷の基本通貨単位は円だよ。確か、顕界の日本と同じだったと思うけど。これは、幻想郷を創った奴が今の日本がある島に縁がある人物だかららしいんだけど、詳しいことは私の能力をもってしてもよくわからないね。
「 なら大丈夫だね、じゃあそうしよう。なんだか今日はやることがかなり増えちまったから、ちょっと急がなきゃね」
遅れている原因の一端が何を言うか(笑)。
やっと神奈子たちの話も終わり、先に諏訪子と話していたお出迎えの人の所に近づいて行った。既に諏訪子との話も終わっていて、更なる待ち時間を喰わされていたお出迎えの一人(実は二人いた)は少々脱力していた。
「悪い、待たせたね・・・って、何だい、文に椛じゃないか」
そう、隠れ里の入り口で待っていたのは、前に少し出てきた幻想郷一の新聞記者(自称)・射命丸 文と、若くして狗賓衆の筆頭に選ばれた、文の直属の部下、努力の白狼天狗・犬走 椛だった。
結構長い時間まっていたのだろう、文の顔には疲れが色濃く見て取れた。椛のほうはいたって普通に見える。これが、職務に対する姿勢の違いか。
「・・・失礼を承知で言わせてもらいますが、あなたがたは話が長すぎます」
神奈子を前にして文は開口一番そう毒づいた
「こんにちは!!神奈子様。ようこそいらっしゃいました」
椛は満面の笑顔でハキハキと挨拶した。
「悪かったって、自分でも悪い癖だと思ってるけど、なかなか治らないんだよ。それより椛、御影からの報告で聞いたけど、狗賓衆の筆頭になったんだって?」
ブーブー言う文(射命丸って書くのが面倒だから、こっからは文で統一するよ)を適当にあしらい、神奈子は椛のほうを見ながら言った。
「はいっ!!先ほど諏訪子様から激励のお言葉をいただきました」
「激励ってほど大袈裟なものでもないんだけどね。もみちゃんぐらいの年で筆頭になるのは、天狗たちの中でもかなり異例なことらしいから、期待に応えられるように頑張らないとねって」
諏訪子は椛に後ろから抱きつきながら、自分よりも背の高い椛の頭をなでた。
「はいっ!頑張ります!!」
椛はくすぐったそうに、気持ち良さそうに目を細めながら、声だけははっきりと大きく返事をした。この一連のやり取りだけで、椛が良い子であることが分かる。
「だから話が長いんですって。こっちは私たちの頭領を待たせているんですから、いい加減空気を読んでください」
文は両手を挙げて降参のポーズをとりながら、勘弁してくれといった感じに溜息をついた。
「相変わらず気持ちの良い物言いだね。わかった。今からちゃんとするよ」
そう言うと、神奈子は改めて今回の来訪の目的を話した。
「突然の訪問すまない。今回は天魔に話しておきたいことと、頼みたいことがあって来た。それと・・・青!」
そこまで言うと神奈子はまた今までのやり取りをポカーンと見つめていた青蛙神を自分の所に呼んだ。
「あっ、はいっ」
呆けていた青蛙神は慌てて神奈子の傍まで駆けて行った。・・・これは青蛙神が幻想郷の空気に慣れるのにはしばらく時間がかかりそうだね・・・。
「先に二人には紹介しておこう。この娘は青蛙神。今日顕界からこっちへ来た・・・いや、連れてこられた娘だよ。あのスキマ妖怪にね」
神奈子は青蛙神の背中を軽く押して自己紹介を促した。