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マルナ・シアス
マルナ・シアス
novelistID. 17019
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【東方】東方遊神記7

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天狗の隠れ里には、狗賓、天狗、上位天狗、大天狗など、あわせて二百人近くが暮らしている。妖怪の山の内部に超広範囲の空洞を作り、そこに天狗の秘術と、盟友である河童の科学技術の粋を結集して、外界とまったく同じ環境を作り出した。河童はこの隠れ里とは別の場所、妖怪の山を縦断するように流れる川の川底のさらに下、地下に天狗の里と同じように空洞を作り、そこに小規模な村を形成して暮らしている。環境も天狗の里と同じ。村の河童人口はおよそ百人。この村と里では、太陽の光を完璧に取り込むことができ、外界と同じように朝昼夜の時間の流れとともに日の光が変化する。地面もちゃんとした土であり、耕せば畑や田んぼも作れる。尤も、天狗も河童もそんなことはしない。なぜなら二種族とも本来食事をとる必要がない。勿論味を楽しむことはできるので、いわば娯楽のようなものだ。だから、食を楽しむ連中が人間の里から必要な食糧を購入して済ましている。ならその食糧を買う金はどこから出ているのか?それは二種族とも自分たちの持つ技術をフルに活用しているのである。
天狗は写真・印刷・出版の技術に優れている。人里で読まれる書物(巻物などの手書きの一品物は除く)のなんと八割が天狗の印刷会社の発行である。会社名は『天魔印刷』。お察しの通り代表取締役は御影である(笑)。人間からの印刷物発行の依頼は狗賓が請け負う。人里の中心街には狗賓衆の詰め所があり、決まった時間そこに詰めている狗賓に依頼書を渡すのである。料金は後払い可能。仕上がりは最上質。料金も良心的。人間からの信頼は絶大である。そして第二に写真技術。人間に高度な技術を与えるのをあまり好まない天狗は写真機の製造技術を伝えることはしなかったが、写真というものがどういうものかを紹介した。料金は少々高めだが、冠婚葬祭などの際に撮影の依頼がちょくちょくくるようである。こちらも狗賓衆詰め所に詰めている狗賓に注文書を渡す。
この二つの技術提供により、天狗界は大きな収入を得ているのである。なので、人間は天狗にとって最大にして唯一のお得意様なのである。これにより、狗賓を中心に天狗と人間との間には密接な関係が築かれている。ただ、この人間と対等な関係であるかのような状況を好ましく思わない老天狗も少なくない。老天狗の主張は一貫して
「天狗は人間よりも貴い存在であり、人間は天狗の支配下に入るべきである」
というものだ。主張はこうだが、このようなことを声を大にして言おうものなら、たちまち博麗の巫女が来て
「妖怪風情が調子に乗るな」
と粛清される。そのため老天狗たちもあまり騒ぎ立てたりしない。
次に河童についてだが、こちらは言わずもがな持ち前の探究心や異常なまでの手先の器用さによって様々な発明品や科学技術を生み出している。また空間を把握する力にも優れているので、建築技術もかなり高い。天狗の里や河童の村を作る際も、この力が大いに役立っている。そしてそれらを人間に提供するのである。
しかし元来臆病な性格の河童が人間と直接交渉や技術指導をすることはないので、これも狗賓が人間とのやり取りを仲介役として代行する。例を挙げて言えば、予め値段を決めた発明品を携えた狗賓が、お客である人間と交渉し、成立すればその発明品を売り、しなければ値段を再検討して次回にまわされる。売り上げの一部は手数料として天狗の里に納める(売り上げの二割程度)。また科学技術の指南書や大工のすすめなど、自分たちの知識や技術を書物にし、それを販売する。こちらは印刷、発行を全て天狗側がやるので、手数料も大きい(売り上げの三割程度)。因みにこの書物については、天狗側の検閲が入る。書物の内容が人間に必要以上に知識や技術を与え、それが天狗にとって脅威になる恐れがあると判断された場合、その場で撥ねられる。さて、長々と説明したが、要するに何が言いたかったかというと、収入も十分あり、環境も安定している天狗と河童の生活水準はかなり高いということだ。そのうえ、最先端の技術の恩恵を常に受けられ、尚且つ自分たちの住んでいる場所のすぐ近くには大いなる神徳を与えてくれる神様が住んでいるのである。さすが幻想郷のパワーバランスの頂点とまで言われたことはある。
 
話を元に戻そう。天狗の里は天岩戸(あまのいわと・諏訪子命名)から入ってしばらく歩くと、大通りを挟んで両側に家が建ち並んでいる。基本的には人間の里と町割りは一緒だが、家に使われている材料が違う。通常使用される木材や土、瓦なども勿論あるが、それとは別に、合成樹脂(強化プラスチック)や合成金属(アクリル・トタン)、合成石材(コンクリート)なども多く使用されている。全て河童の新しい発明品である。