逃れられない理
終幕
帝人君が逝ってから数年後、XXXXXXは完璧に完治する病となる。それはひとえに折原という医師の執念の賜物であった。
今、この医学界に折原医師はいない。あの病の完治方法を見つけてから忽然と姿を消したのだ。まるで、己の役目は終えたかのように。
けれど、今もなおこの折原病院は開院している。
「新羅、ほれこれ学会から」
「げぇっ・・・門田くんでない?」
「ふ、ざ、け、る、な。ここにおいてくぞ」
「はーい・・・」
僕は今だ慣れぬだだっぴろい医院長部屋の椅子に背を預ける。突然消えた友の行方を知るものはどこにもいない。
それはそれで良いと僕は思っている。だってそれはあいつの人生であり僕のあずかり知ることではないから。
非情と言われればそれまでだが、僕らはそう言うつきあい方をしてきたのだからしょうがないだろう?
「・・・君はきっと彼の元へといってしまったんだろうねぇ」
苦笑にも似た笑みが自然と漏れる。そして門田くんが置いていった資料を僕は嫌々しながら開くのだった。
end.....