僕らの恋愛戦争
池袋で知らぬ人が居ない人物と言えば、首無しライダー、平和島静雄とその喧嘩(戦争)相手の折原臨也。あとは露西亜寿司のサイモンなどなど、いわゆる危険人物のレッテルが貼られているグループにあらたな名前が最近加わった。その名は竜ヶ峰帝人。硬い名前とは裏腹に見た目は平凡で、性格もちょっと毒舌入っているが控えめで穏やかな現役女子高校生だ。そんな彼女の名が何故知れ渡ったかは、簡単だ。何と彼女はあの喧嘩人形と、ナイフ常備な情報屋に溺愛されているのだ。
妹的位置でなく、恋愛対象として。
ブレザーを脱いだだけの高校の制服の上にエプロンを着け、備え付けの鏡の前で、降ろしていた髪をひとくくりにする。ぱぱっと全体を最終確認してから、手を念入りに洗えば準備完了だ。スタッフオンリーと書かれた扉をそっと開けると、カウンターの中に居たオーナーと目が合った。壮年の渋い魅力が素敵なオーナー は口髭を柔和に綻ばせ、「今日もよろしく頼むよ」と帝人に声を掛ける。帝人も「はい」と控えめに、けれど年相応の笑みを浮かべて応えた。個人経営の喫茶店だから、店内はさほど広くは無い。しかし木の温もりに包まれた内装と、柔らかなジャズの音色、そして何よりオーナーが淹れる珈琲が人を呼び、ほぼ毎日常連客で席が埋まっている。
帝人がここでバイトできるのも、人の紹介があったからだ。学生でしかも時間が放課後ぐらいしか無い帝人を、快く雇ってくれたオーナーには感謝が尽きない。あと、
「やあ、帝人くん。今日も可愛いね」
「臨也さん」
紹介してくれた、この人にも。
妹的位置でなく、恋愛対象として。
ブレザーを脱いだだけの高校の制服の上にエプロンを着け、備え付けの鏡の前で、降ろしていた髪をひとくくりにする。ぱぱっと全体を最終確認してから、手を念入りに洗えば準備完了だ。スタッフオンリーと書かれた扉をそっと開けると、カウンターの中に居たオーナーと目が合った。壮年の渋い魅力が素敵なオーナー は口髭を柔和に綻ばせ、「今日もよろしく頼むよ」と帝人に声を掛ける。帝人も「はい」と控えめに、けれど年相応の笑みを浮かべて応えた。個人経営の喫茶店だから、店内はさほど広くは無い。しかし木の温もりに包まれた内装と、柔らかなジャズの音色、そして何よりオーナーが淹れる珈琲が人を呼び、ほぼ毎日常連客で席が埋まっている。
帝人がここでバイトできるのも、人の紹介があったからだ。学生でしかも時間が放課後ぐらいしか無い帝人を、快く雇ってくれたオーナーには感謝が尽きない。あと、
「やあ、帝人くん。今日も可愛いね」
「臨也さん」
紹介してくれた、この人にも。