僕らの恋愛戦争
帝人の顔は先よりもずっと赤くなって、臨也が称した熟れた林檎のよ うだった。
「ああもうっ、臨也さんも静雄さんもわけわかんない!」
しかし、生憎とここまでされてもまだ帝人は大人二人の思惑に気付いていない。帝人は天然であるが、それ以上に鈍いのだ。特に色恋沙汰に関しては。周りが しっかりと認識していても、当の少女だけが気付かないのは、気の毒だと思うと同時に、マスターのように娯楽として見ている者も居る。果たして、喧嘩人形と 情報屋のどちらが少女を射止めるのか。しかしどちらにせよ、この恋愛戦争は少女が自覚せねば始まらないのだが、
「都会の男の人って、皆ああなのかなぁ」
・・・・・・まだ当分先のようだ。