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沖神ショートショートショート

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 傘の柄をくるくると回した。
「俺は強い奴が好きだなァ」
 男はそう言って。
「私も」
 と、私は答えて。それから一言付け足した。
「でもお前は弱くてもいいヨ」

 たまに青空の色を忘れてしまう。まるで傘の濃い色の向こうは私の世界の外側であるかのように。そうなると、いま、あいつは私の世界には存在しないことになる。
「そりゃあこっちの台詞だ、ガキめ」
 世界の外であいつがせせら笑うのが聞こえた。
「あんたンとこじゃどうだか知らねーが、この国では女や子供は弱くても構わないってことになってる」
 そしてそれを口実に守ったり守られたりしている。
「でも私たちは、どちらかが弱かったら、こんなふうにつるんだりしなかったはずアル」
 見上げると柄を中心にして傘の骨組みがくるくる回る。感慨も感傷もなく私に従って展開する。
「それには俺も賛成だ。だがチャイナさんよォ、それはちいと矛盾してるんじゃないですかィ?」
 私の世界の拘束力の無さを思う。境界は会話を遮らない。確かに視界は塞がってるけど、声が届けばあいつの表情なんか想像できてしまう。
「もういいんだヨ。もう出会っちゃってこんな話までするようになったから、これから弱いとこ見たってもう変わらないネ」
 開いたままの傘を、勢いよく上空へ。

 ほら、あいつは想像通りの顔で待ってた。