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沖神ショートショートショート

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 昼休み。裏門から抜け出して駄菓子屋に行こうとしたら、上空から歌が降ってきた。
――ろんどんぶりっちーずふぉーりんらーぶ、ふぉーりんらーぶ、ふぉーりんらーぶ、
「ばっっかじゃねーのっ」
 辛辣なツッコミをお見舞いしたくなったのはよく知った声だったから。
――ろんどんぶりっちーずふぉーりんらーぶ、まい、ふぇあ、れっでぃ!
 力強い終わり方をした歌と同時に、がしゃんとフェンスが鳴って人間が落ちてきた。
「ち」
「何だヨ」
 落下してきた高さをものともせずにピンク頭は眼鏡を直して睨み上げてくる。
「女子のくせにスカートの下にジャージなんかはいてんじゃねェ」
「きゃースクールセクハラ!略してスクセク!」
 女々しい悲鳴に反して飛んでくる蹴りはとんでもなく強烈なんだから困る。回避回避。
「つーか何なんでィあの歌は」
「タイトル知らね」
 俺も知らね。
「そうじゃなくて、明らかに歌詞違ったろィ」
 違わないヨーと、チャイナの頬が膨れた。
「銀八せんせーに教わったんだモーン」
 あの教師の言うことは信じないようにしようと思った。いや、もともとそんなに信用してないけど。
「てめー意味わかって歌ってんのか?ロンドンの橋が恋に落ちてどうすんだィ」
 チャイナはきょとんとして、やがて納得したように手を打ち、そして平然と言い訳した
「ロンドンの橋が恋に落ちたっていいアル。落ちないと決めつけちゃかわいそうヨ。何事もチャレンジ!」
 ああそうかい。
「私とお前が恋に落ちる確率に比べたら、ロンドンの橋の方が遥かに脈ありネ!」
 ロンドンの橋と誰との間に脈があるってんだ。