狂い咲き 壱
いつからだろうね?
君の瞳が闇しか映さなくなったのは―――
何もかもが真っ白に染まる季節。
…っていうかいつもそんな感じなんだけど。
「イヴァンさん…?」
「あぁ、トーリス。ゴメン、どうしたの?」
「コーヒー入りました。ここに置いときますね!」
「うん、ありがと。」
視線で彼が部屋から出て行くように促す。
彼がドアを閉めるのを見届けると僕は再び窓の外へ顔を向けた。
―――見つめる先は……極東。
西側の世界にはいない髪の色を持つ人々が住む地……。
―――貴方は一体、何をしたいんですか……?
君は血まみれになっても戦い続けた。
君は一人になっても戦い続けた。
だから今、君は首輪を付けられているんだよ?
僕の仲間になっていれば…自由だったんだよ?
君の兄さんはもう僕の仲間――モノ――
でもね……あの子じゃだめなんだ。
だって棘が多すぎるもの…。
―――君が欲しいんだ……菊君?
「…というわけで、ここをこうしたらどうだい?」
「はい、そうですね。良いアイデアだと思います。」
病院のベッドでわざわざこんなことをするアルさん……。
そう、私は…枢軸は…負けました。
今はアルさんのもと、国を立て直そうと頑張っています。
でも…なんでしょう? この違和感は……?
「どうしたんだい?」
「あ、いえ……あの…今日はお引き取り願えませんか?」
「菊がそう言うなら…わかったんだぞ!!」
「ありがとうございます!」
眼下にシベリアの大地が見える。
やっぱり飛行機は慣れない。
でもこれぐらい我慢しなきゃ…
これから―――に行くんだから……。
菊が用意してくれた小さな古民家。
初めて来たはずなのにすごく安心する。
堅苦しいスーツを脱ぎ、Tシャツに着替えるとドスンと壁に背中を預けた。
菊をオレの番犬にする―――か……。
上司命令は絶対だ。
逆らったら? オレにはわからない。
―――アーサーはそんなこと教えてくれなかったなぁ…
菊を番犬にすること…オレ自身にとっても悪いことじゃない。
イヴァンの家にも近いし、今後アジアで何かあったとき協力してくれるだろう。
それに菊は手先が器用だから今後すごい技術を生み出していくだろうし……
…でも、ダメなんだっ!
よくわからないけど……ダメなんだっ!!
「きーく君♪ 調子はどう?」
「あぁ、イヴァンさん。お久しぶりです。」
騙せてないよ。だって目が笑ってない。
そりゃ、僕に家の一部とられたもんね……。
「……っ!」
「痛い?」
包帯の上から傷を押さえる菊君。
「ねぇ…まだ気づいてないの?」
「何のこと…ですか…?」
怒りに燃えていた漆黒の瞳が不安に揺れた。
「君さぁ…アルフレッド君に利用されてるよ?」
「……!?」
君の瞳が闇しか映さなくなったのは―――
何もかもが真っ白に染まる季節。
…っていうかいつもそんな感じなんだけど。
「イヴァンさん…?」
「あぁ、トーリス。ゴメン、どうしたの?」
「コーヒー入りました。ここに置いときますね!」
「うん、ありがと。」
視線で彼が部屋から出て行くように促す。
彼がドアを閉めるのを見届けると僕は再び窓の外へ顔を向けた。
―――見つめる先は……極東。
西側の世界にはいない髪の色を持つ人々が住む地……。
―――貴方は一体、何をしたいんですか……?
君は血まみれになっても戦い続けた。
君は一人になっても戦い続けた。
だから今、君は首輪を付けられているんだよ?
僕の仲間になっていれば…自由だったんだよ?
君の兄さんはもう僕の仲間――モノ――
でもね……あの子じゃだめなんだ。
だって棘が多すぎるもの…。
―――君が欲しいんだ……菊君?
「…というわけで、ここをこうしたらどうだい?」
「はい、そうですね。良いアイデアだと思います。」
病院のベッドでわざわざこんなことをするアルさん……。
そう、私は…枢軸は…負けました。
今はアルさんのもと、国を立て直そうと頑張っています。
でも…なんでしょう? この違和感は……?
「どうしたんだい?」
「あ、いえ……あの…今日はお引き取り願えませんか?」
「菊がそう言うなら…わかったんだぞ!!」
「ありがとうございます!」
眼下にシベリアの大地が見える。
やっぱり飛行機は慣れない。
でもこれぐらい我慢しなきゃ…
これから―――に行くんだから……。
菊が用意してくれた小さな古民家。
初めて来たはずなのにすごく安心する。
堅苦しいスーツを脱ぎ、Tシャツに着替えるとドスンと壁に背中を預けた。
菊をオレの番犬にする―――か……。
上司命令は絶対だ。
逆らったら? オレにはわからない。
―――アーサーはそんなこと教えてくれなかったなぁ…
菊を番犬にすること…オレ自身にとっても悪いことじゃない。
イヴァンの家にも近いし、今後アジアで何かあったとき協力してくれるだろう。
それに菊は手先が器用だから今後すごい技術を生み出していくだろうし……
…でも、ダメなんだっ!
よくわからないけど……ダメなんだっ!!
「きーく君♪ 調子はどう?」
「あぁ、イヴァンさん。お久しぶりです。」
騙せてないよ。だって目が笑ってない。
そりゃ、僕に家の一部とられたもんね……。
「……っ!」
「痛い?」
包帯の上から傷を押さえる菊君。
「ねぇ…まだ気づいてないの?」
「何のこと…ですか…?」
怒りに燃えていた漆黒の瞳が不安に揺れた。
「君さぁ…アルフレッド君に利用されてるよ?」
「……!?」