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ぎとぎとチキン
ぎとぎとチキン
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なんでもない日に

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色々、あった。
本当に、色々。
憎んで、恨んで、それでも嫌いきれずに、ここまで来た。
多分、好き。愛してる。
お互いに、そう。

「帝人くーん、」
「なんですかー?」
「、」
「臨也さん?」

帝人は不思議そうに臨也を見る。
臨也も、帝人を見た。
見て、いる。

「いっしょに、住もうか。」
「っ、それ…、結構前にも、聞きましたけど。」
「わかってる癖に。」
「なにがですか。」
「前のは冗談。今のは、本気。」
「、」
「覚悟、ようやく決まったよ。」

呆然と目を見開く帝人に、臨也が笑う。
鮮やかに、艶やかに。

「結婚しよう。色々伝手使えば外国名義になるけど、すぐに出来るよ。」

全て収まって、10年以上。
二人の周りも落ち着いて、臨也に対する風当たりも弱まって、それでも少しの覚悟が足りなくて。
お互いに言い出せず、ずっとこのままなのかな、と思っていた。
けれど、なんだか唐突に、覚悟が決まったのだ。
そう、お互いの誕生日でも無い、バレンタインでもクリスマスでも正月でも、祝日でもない、なんでもな平日に、唐突に。
あ、一緒に住みたい、書類の上でも、一緒に、と。

「……僕、」
「うん。」
「10年前、杏里さんにプロポーズされました。」
「う……ん、………え?」
「僕はそれを、断りました。」
「、」
「なんで、だと、思いますか?」

パチパチと、珍しくも呆けた表情の臨也に微笑って、その頬を突つく。
少し涙の滲んだ笑顔は凄く綺麗で、臨也はただ呆然として、帝人の言葉を聞いていた。



「遅いんですよ、僕なんてとっくに決まってました。」



それは、何でもない日が、記念日になった日。