二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

双方向インプリンティング【俺にとっての君】

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 



 たった一人用の着信に臨也は回想を切り上げて「おめでとう」と電話に出る。
『あ、はい。ありがとうございます』
 照れくさそうに遠慮深げに帝人は言う。
『母に直接報告しなさいって』
「そうだよそうだよ。俺がこっちで帝人君の保護者なんだから、ちゃんと三つ指ついて『ふつつか者ですがよろしくお願いします』ってやんなきゃ」
『籍入れるんですか?』
「まずは外国籍がいるねー」
『えっと、家のことなんですが』
「一緒に住もうよ。余裕だよ?」
『・・・・・・臨也さん、ちゃんと二人に話しました?』
 帝人の言葉に臨也は首を傾げる。
『マイルちゃんから一緒に暮らそうって年賀葉書が届きました。年賀状って言っても着いたのはこの前ですけど』
「・・・・・・へぇ」
 臨也の双子の妹たちに帝人の情報は全て伏せている。
 帝人と違って妹は反抗期な中二病患者だ。
(知らない間にまた誰か死んでたのか? 住所ならあの席で簡単に調べられる)
『僕がケータイ壊して臨也さんがくれましたけど、その番号知らないから葉書になっちゃったって』
「あー、うっかりしてたかなぁ? 言ったつもりあるんだけど」
 臨也が謝罪の気持ちを滲ませれば帝人は仕方がないというように溜め息。
『電話したら「ミカ兄に捨てられたぁ」って泣かれたんですからねっ!』
「で、何? あっちに行くの?」
『いえ一人暮らしですよ。・・・・・・その、親戚とはいえ異性が一緒はまずいでしょう?』
「そうだね、まずいね。社会的に抹殺ものだね。名字も違うし遠縁だっていっても普通は信じないよ」
『もっとフォロー的な言い回ししてくださいよ、もう』
 小さく「意地悪」と言われてその甘さに臨也はたまらなくなる。
「で、同性であるわけな俺は何の問題もなく」
『新宿遠いです』
「超近いよ。すぐだよ」
『もう引っ越し先は決めてます』
「どうして? 反抗期?」
『僕は池袋で暮らすんです』
 少し拗ねたような帝人の声音に臨也はこれは折れてはくれないと悟る。
『臨也さんお仕事あるのに僕の世話を焼こうとするからダメです。もう少し自分のことを考えてください』
「帝人君が俺の世話を焼いてくれれば帳尻は合うでしょ? ね?」
『迷惑じゃなければ、料理ぐらい作りに行きますよ』
「本当?」
『無理しないでくださいね』
「帝人君を心配させるようなことしないよ」
『嘘ばっかり。・・・・・・ではまた、夜にでも』
「チャットでね。待ってるよ」

 電話に対して臨也は手を振る。
 愛おしい。
 帝人に対する愛に限りはない。

 もちろん臨也は帝人がどこに引っ越すのか知っている。
 それを見れる位置に簡易な事務所はもうすでに構えている。
 池袋へ行くことは危険を伴うが仕方がない。

(俺にとっての君は世界全てより上なんだからさ)

 臨也は笑う。
 瞳の熱情は恋する乙女以上に苛烈。
 嘲りの混ざらない慈しみがこもった顔で来るべき春に思いを馳せた。

(ダラーズ、どう遊ぶのかな? 帝人君は何をしたいのかな?)

 臨也はくるくる椅子を回す。