廃材の恋
仰向きに倒れ込んだシーツは埃の匂い。無茶な動きにスプリングは悲鳴を上げて、二人分の体重を支えるのは無理だと主張する。見上げた天井は暗い色をしていた。よくよく見れば室内灯だって切れかけてちかちかと瞬いては目を痛める。
何もかもこの部屋は古くさく傷付いていた。暗く黒く薄汚れて埃にまみれている。そんな中で俺の格好だけが酷く浮いていた。全ておろしたての服や化粧品で、これでもかと着飾った様は異様な程。
フランスの性癖は時に戸惑うくらいに極端で、彼は異常な執着と無関心の間に生きている。荒廃した室内と作られた美。そしてそれはきっと彼にとって欲望の具現で、フランスはその典型のような渦中に俺を突き落としては満たされる。それは一体どれだけの感情の発露か。
――でも、ああ、この部屋で、何より一番使い古され、同時に着飾っているのは他でもない自身なのだと、認めて笑い出したいくらいの幸福に身を浸す、そんな俺だって、きっと渦巻く身勝手に生きている。
(101020/仏英)