いつまでも、君が怖い理由
3
「耳と、尻尾…っすか?」
「うん。学校の皆も、リボーンも見えないみたいなんだ。俺だけに見える、幻覚なのかもしれないんだけど…はは、なんか俺、ヤバい人みたいだ」
「そんな事ありませんよ!」
「え?」
「十代目に見えるなら、それは事実です。どうせシャマルのヤローが変な事やったんじゃないっすかね?」
それらしい理由に、俺はパチリと大きく目を見開いた。
成る程、それなら俺にしか見えないという事にも納得がいく。
「そ、そっか…。うん、ありえるかも」
「十代目にウィルス感染なんて許せません。俺、ちょっと果たしてきますね!」
ニカっと笑った獄寺くん。そのまま走り去って行こうとする後ろ姿を、慌てて掴んだ。
「じゅ、十代目?」
「あの…。その…さ、君の耳、すっごく触り心地が良いんだ。だから、その…もうちょっと、触らせて欲しいんだけど…」
「っ…!!」
獄寺くんの尻尾がピタリと動きを止める。
恐る恐る掴んでいたカーディガンを離して、顔を見上げる。
そこには、真っ赤な顔の獄寺くんが顔を抑えながら立っていた。
「ご、獄寺くん…?」
「―――す、すいません。その、十代目さえ宜しければ…」
「うん?」
「誰も居ない所がいいんですが…」
ひそめた声の理由も、それが嬉しいと思った気持ちも――全ては、まだ理解できないまま。
繋いだ手だけが、今の俺たちの理由だった。
作品名:いつまでも、君が怖い理由 作家名:サキ