始恋
「が…ぁ」
「うぅ…」
「…弱い」
弱すぎる、少年は足元に転がる男達に不満を漏らす。
やはり、群れをなす者は口だけらしい。
「僕は、群れが嫌いだ」
ガン、と爪先で蹴り上げれば男の意識は即座にフェードアウト。
その様子を少年はつまらなさそうに眺め、ゆっくりとした足取りでその場を去った。
「ん?」
「どうかしたんすか」
ふと空を仰ぎ見れば、一羽の黄色い鳥。
「ヒバリ、ヒバリ」
あの鳥は確か…
「雲雀の鳥だな」
思い出す前に隣にいた少年に答えを先に言われてしまった。
「ヤローの鳥?」
「ん?何で雲雀さんの鳥がここにいるの…あぁ!?」
「やべぇっ!」
ガチャリ、屋上のドアノブが回る
自然と逃げ腰になるのは身体が経験してるからで。
己の勘が外れていなければ、恐らく入ってくるのは、
「また群れてるの?」
キーンコーン カーンコーン…
無情にも、死刑執行のチャイムが鳴り響いた。