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ラプンツェル

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「それにしても、ずいぶん長くなったね」

「何がですか?」
 穏やかに晴れた空はまるで今の気分をわかってもらえている気がして、とても心地いい。今日も晴天にしてくれてありがとう、とお天気の神様に感謝をした。
 木の葉のそよぎや鳥たちの声が、家の中にいるときよりもなんだか遠く聞こえる。両脇にはルルーシュと、スザク。ナナリーが外のテーブルでおしゃべりをしようと持ち掛けるときは、機嫌の良い証拠なのだ。
「ナナリーの髪がさ。腰の下くらいまであるのかい? 昔はこう、いつも上のほうでふたつに結んでたよね。そのイメージが強くて」
 ナナリーは自らの栗色の波打つ髪を撫でながら、ふふ、と少し得意げに笑った。
「大きくなったら長ぁく伸ばすのが夢だったんです。お母様の長い髪がきれいで、ずっとあこがれていたので」
 そんな妹の表情に目を細め、ルルーシュは紅茶のカップから口を離す。
「小さい頃は口癖みたいに何度も言っていたからな」
 母と兄妹と共に暮らしていたあの頃。散髪の日が来ると、いやだいやだと駄々をこねて皆の手を焼かせたものだ。それだけ母の美しい髪は印象的で、その後ろ姿を眺めるのがルルーシュも好きだった。
「へえ。よく似合ってるよ、大人っぽくて。なんだか」
 スザクは自身のものとは性質の違う癖毛をまじまじと見つめる。
「ラプンツェルみたいだ」
 ルルーシュがぴくりと眉をひそめた。
「ラプンツェルって……あの、おとぎ話の?」
 大人っぽい、と言われたのは嬉しいが、ナナリーの中では後に続く言葉とイコールにはならず、首を傾げた。
「うん。すっごく長い髪の毛の、高い塔に住んでるきれいな女の人、だったよね。たしか」
 スザクが両手で長い髪を束ねて掴むような動作をする。ルルーシュがふっと笑うが、その間に挟まれているナナリーはやや眉を寄せて思案しつつ返す。
「はい。絵本で読んだことがあります。でも、ずいぶん前だからどんなお話だったか……」
 幼い頃の記憶をたぐり寄せながら、離宮の部屋の中、横で見ていたであろう兄のほうを向こうとすると、
「いや、俺は見かけたことはないな。ナナリーの本棚にも置いていなかったと思うけど」
「まあ、そうでした? お姉さまのところで読んでいただいたのかしら」
作品名:ラプンツェル 作家名:おおはし