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カフェ【ワグナリア】にようこそ!!

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長い前髪が、表情も隠してしまって佐藤君が何を思っているか、まったくわからない。
淹れ終わったのか、佐藤君がカウンターから出て、トレーを持ってあの子のテーブルへ。
「(佐藤君の仕事じゃない………まあ、仕方ないか)」
周りを見れば、フロアの轟さんは店長にべったりだし、山田さんはあの子達と楽しそうに話をしていた。
うん、働こう、みんな!
「ほらよ」
「わー!クマだー!!」
どうやらあの子たちにはクマのラテ・アートみたいだ。
う、うらやましくなんて、ない……
「クマで喜ぶなんてまだまだお子様だな、種島」
「子供じゃないよ!!」
「そうか。じゃあこれはいらんな」
「あ!ケーキ……!!い、いるっ!」
「お子様め」
「うううううう~!!」
佐藤君は種島さんしか見ていないから気づいてないのか、
一緒のほかの女の子たちは佐藤君のことをじっと見ていた。
………もやもやする。
「ゆっくりしてけよ」
「うん、ありがとー!」
そのまま、何事もなく、佐藤君はカウンターの中に戻った。
さっきとは違い、俺相手では何も、話してくれない。
なんだか、もどかしい。
「(ホントはもっと、佐藤君のことが知りたい………)」
また一口、こくりとラテを飲んだ。
「あ、」
「??」
佐藤君が何かに気づいて声をあげた。
そしてそのままカウンターを越えて、俺に佐藤君の手が、の、のびて…
え、な、何……????
「!?!?」
佐藤君の指が、俺の口元に触れた。
「………クリーム、付いてた」
そういって佐藤君は微笑んだ。
「!!!!!!!!?(何なのこのイケメン……!)」
一方俺は、声にならない悲鳴をあげることしか出来なくて………
顔、絶対赤くなってる気がする………
「あ、ありがと………」
「イイエ……」
恥ずかしくて、佐藤君の顔をまともに見れない!
伺うように、そっと佐藤君の顔を見る。
「(あ、……佐藤君、耳赤い……)」

そんな反応を見て、ふと、思う。
佐藤君も、俺と同じ気持ちだったらいいのに、と。
無理だとは、わかってはいるけれど……――――――



それでも、俺は今日もここにいる。