School Days 5月 side狩沢
「ああ! 別に謝らなくても。まぁ確かに痛いけど、故意的にやったわけじゃないし、静雄先輩にも何か理由があったと思うし」
静雄は僅かに目を見開き狩沢の顔を見る。狩沢は笑顔を浮かべて静雄を見た。
「大丈夫だよ、これぐらい。心配してくれてありがとうございます」
「いや、こっちこそ悪かったな・・・・・・」
「いえいえ。それに私怪我とかより昨日睡眠不足だったし、保健室で寝れておかげですっきりしました」
静雄は少し照れた様子で頭をガシガシと掻く。すぐそばでその様子を傍観していた新羅はニッと口で弧を描きながら静雄に声を掛ける。
「静雄―。良かったね。”静雄先輩”だって。後輩が出来たよー」
「っ・・・・・・新羅。うるせえ」
静雄は新羅の首を絞める。新羅は苦しそうにして静雄の両手首を掴んで剥がそうとするが、一向にその首から手が離れることはない。ついに新羅が青ざめてきて小さな怒りがおさまったのか、静雄は新羅の首から手を離す。
離したとたんに新羅はごほごほと咳き込み、目に涙を浮かべた。
「げほ・・・っ・・・静雄、ちょっとぐらいは加減を覚えてよ」
「無理だ」
未だ咽る新羅に、狩沢はベッドの真ん中から脇のほうへ移動し新羅の近くまでくると、咽る新羅の背中を手でさすり始めた。
「大丈夫? 新羅先輩」
「っ・・・・・君は良い子だね! 怪我を負わされた先輩に対してこんな態度で接してくれるなんて。神からの贈り物かもしれないよ。こういう後輩は大事にしたほうがいいよ、静雄」
「あぁ、そうだな」
静雄は自分に後輩が出来たことが嬉しいのか、優しげな笑みを浮かべて新羅に返事をする。新羅は狩沢の優しさに打ちひしがれているようだ。
「そういえば、お前名前何ていうんだ?」
気付いてなかったのか新羅もそういえば、と言うと狩沢の方を見て静雄の問いの答えを待つ。同じくそういえば、まだ名前言ってなかったと改めて今までの会話を思い出しながら狩沢は二人に向かって口を開く。
「狩沢絵理華です! よろしくお願いしまーす、静雄先輩! 新羅先輩!」
作品名:School Days 5月 side狩沢 作家名:大奈 朱鳥