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最高無敵で最愛のお姉さま!@11/27追加

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最高無敵で最愛のお姉さま!



本日の池袋は曇りところにより、自販機が降るでしょう。
ていうか、もう降ってる。





「いーざーやーてめーッ!!今日こそすり潰すぶっ殺す!!」
「あはは!何言ってるの静ちゃん頭おかしくなった?死ぬのは俺じゃなくて君でしょ。世の為人の為何より俺の為に死んだ方がいいんじゃないてか死ね!」
「ぶっ潰す!!」


杏里と正臣は帰宅途中だったが、運悪く彼ら二人の喧嘩(というか殺し合い)に遭遇してしまい、立ち往生くらった。
「あーあー、相変わらずだなあの人たち」
「だ、大丈夫でしょうか・・・?」
「杏里が気にするこたないって!どーせ、ひとしきり暴れたら臨也さんが逃げて終わりなんだから」
「でも、ここ一帯壊滅状態になるんですよね」
「そうそう。ま、これも何時ものことだから俺達が気にするだけ無駄・・・って、お姉さんどなた?」
正臣の隣に(杏里とは反対側に)、長い黒髪の女性がにこりと笑って立っていた。柔らかな笑みに思わず二人も笑みを返す。
「ごめんなさい。いきなり会話に割り込んでしまって」
「いえいえ!こんな可愛いお姉さんだったらいつでもエブリディ大歓迎です!」
「・・・あ、ありがとう、かな?」
照れたように頬に手を置く仕草は杏里から見ても可愛らしく、一瞬喧騒を忘れて見入ってしまった。
「・・・・・でも、困ったなぁ」
「?どうかしたんですか?」
「ん、ちょっとね。・・・・・・・止めるか」
「「?」」
ぽつりと呟かれた言葉に二人が首を傾げると、女性は未だ続く喧騒から目を逸らし、「お願いがあるんだけど」と二人に声を掛けた。
「ボールペン持ってませんか?」
「ボールペン?」
「あ、私持ってます」
杏里はがさがさと鞄から筆記用具を取り出し、その中からボールペンを抜きとった。女性は申し訳なさげにはんなりと眉を下げる。
「ごめんね、ちょっと借りてもいいかな」
「大丈夫です」
杏里がほっそりとした手にボールペンを渡すと、女性は「壊れたら弁償するから」と告げ、何と自販機やらポストやらが飛び交う場所へとすたすたと歩いて行ってしまった。
「ちょ、ちょっと!!」
「危ないですよ!」
慌てて二人が制止しようと、足を踏み出そうとした時、女性はダーツを持つようにボールペンを掲げ、腕を後ろに引いたかと思うと、一気に、――――投げた。




ヒュン―――――ガキィィィンッ





「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」



ボールペンは矢の如く向かい合っていた静雄と臨也の間を飛び、そのままコンクリートの壁へ突き刺さった。




もう一度言おう。




ボールペンが、コンクリートの壁に、突き刺さったのだ。




あれが人体に向けられていたらと、当事者ではないはずなのに正臣は背筋がぞっとした。静雄と臨也も思わず動きを止め、壁に突き刺さるボールペンに無言で視線を向ける。しかし、臨也は何かを察したのか、ボールペンが飛んできた方向を勢い良く振り向く。そしてそこに佇む女性を確認すると、目を見開いた。臨也に遅れて振り向いた静雄も、思わず持っていた標識をがらりと落とす。二人は同時に叫んだ。


「姉さん?!!」
「み、帝人、さん・・・・?!」


折原臨也に『姉さん』と呼ばれ、平和島静雄に『帝人さん』と呼ばれた女性は長い髪を風に靡かせながら呆れたように手を腰に当てる。そして呆然とする(あの折原臨也と平和島静雄がだ!)二人を尻目に、背後に居た正臣と杏里に顔を向けた。
「ごめんなさい、やっぱりボールペンは弁償しますね」
その微笑みと言葉があまりにも現状に場違いすぎて、正臣と杏里はもう何に驚いていいかわからず、とりあえず瞬きを繰り返していた。