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最高無敵で最愛のお姉さま!@11/27追加

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愛されすぎも考えものです



帝人は下の弟と妹達とは血が繋がっていない。いわゆる連れ子同士の結婚だったので、母一人子一人から、いっきに五人とその人数が増えた時は少しだけ戸惑った。けれど、彼らは帝人の戸惑いなど一蹴するかのように、瞬く間に帝人に懐いてくれた。(ねえさん)と幼い声が呼ぶ。本当の兄弟のようね、と母が嬉しそうに笑った時のことを、帝人は今でも忘れない。







「それでねそれでね!ワゴンがぐるーってなってキキーってなって車内がシェイカーみたいにぐるんぐるんなってすごかったんだよ!あれはもうジェットコースターに負けず劣らず最強にスリリングなドライブだった!ね、クル姉!」
「・・・楽(面白かった)」
「まったく、また変なのに巻き込まれて。厄介事に首を突っ込むのは程々になさい」
「えー!そんなの面白くないじゃん!やっぱり若いうちから色々経験しなきゃ!思春期も青春もあっというまだしね!その点私たちはこれからこれから!」
「特(無茶は若さの特権)」
「はいはい。どうせ僕はおばさんですよー」
「ええ!?違う違うよミカ姉!ミカ姉はいつまでも若くて綺麗で可愛いよ!イザ兄は永遠の21歳とか言ってるけど、それだったらミカ姉は永遠の17歳だよ!」
「似(今でも制服似合うと思う)」
「ええー・・・あんまり嬉しくないんですけど」
「・・・・・朝っぱらから喧しいと思ってたら、お前らか」
「あ、イザ兄起きた!相変わらず爽やかな朝が似合わない男だねイザ兄!と言っても、もう9時過ぎだけどね!おそよう!」
「得(早起きは三文の得だよ)」
「おはよう、臨也さん」
「・・・・はよ、姉さん」
きゃらきゃらと雰囲気すら喧しい妹には目をくれず、臨也は愛しの姉に朝の挨拶をする。うん、今日も姉さんは可愛いと思う臨也の後ろで、「無視だよ無視され たよあからさまな男は嫌われるよねクル姉!」「無(大人げ無い)」という声が上がるがもちろん無視だ。臨也はどうしてもこの双子が苦手だ。自分と似ている 思考回路を持っている分、やりにくいと思うし、何より昔から姉の取り合いをしているせいかどうしても態度が邪険になってしまう。帝人はもう慣れたのか(それとも諦めたのか)、我関せずといった感じだ。
「というかお前ら、何でこんな朝から姉さんとこ居るんだ。自分ん家帰れ。もしくは子供らしくどっか遊んで来い」
「何言ってるのイザ兄!ミカ姉が帰ってきたんだよ?近くに居るんだよ?ずっと会えなかったんだから、顔見て喋って抱きしめたいじゃん!」
「遊(いっしょに遊びたいもの)」
「気持ちは解るけど、姉さんの迷惑を考えろ」
「そんなのイザ兄も一緒でしょ!しかも何かお泊りしてるみたいだしさ!ずるいずるいずるい私だってミカ姉と同じベットで眠りたーい!」
「同(私も)」
「俺はいいの」
「むう!ミカ姉と年近いからってイザ兄はミカ姉独占しすぎ!狭い男は嫌われるよ!」
「譲(たまには私たちに譲ってくれてもいいでしょ)」
喧々囂々と飛び交う兄妹喧嘩をBGMに帝人は臨也の分の珈琲を淹れる。少し濃い目が臨也の好みだ。今日は確か11時に趣味の仕事の客と会うと言っていたはずだと、帝人は壁に掛けてある時計を見た。時刻は9時半。いい加減準備させなければ。
「3人ともそこまで。臨也さんはお仕事でしょ。軽く何か食べてから出掛けないと」
「めんどいなぁ」
「趣味でもそれで食ってるんだからがんばってください。ほらクルとマイも、そんなに元気有り余ってるなら臨也さんの言うとおり外で遊んできなさい」
「ええー!やだ!ミカ姉とこ居る!」
「否(はなれたくない)」
「だったら少し静かにしててください」
「はーい」
「諾(わかった)」
全く、世話のやける弟妹達だ。喧嘩するほど仲が良いとはいうけれど、そこに帝人を挟むのはいくら彼らが可愛くても勘弁してほしい。帝人は平和主義なのだ。
「あ、姉さん。俺、今日もこっち泊まるから」
「またですか?いい加減新宿に戻ったほうがいいと思いますけど。波江さんだっているのに」
「彼女には有休だしてるから、問題ないよ」
「まったくもう、そんな問題じゃないんですけどね」
「はいはいはいはーい!私たちもミカ姉とこ泊まりたいな!」
「・・・泊(お泊り)」
「お前らは明日学校だろう」
「そんなの関係ないね!」
「同(右に同じく)」
「馬鹿言ってるんじゃありません。サボりは駄目ですよ」
「えー!」
「そのかわり今日は一緒に買い物に行きましょうか」
「ほんと!?やったー!」
「嬉(ミカ姉とおでかけ嬉しい)」
手を叩き合って喜ぶ双子を微笑ましそうに見ながら、カップを片づける為に台所へ行く。
(そうだ、ついでに夕飯も買ってこなきゃ)
冷蔵庫を確認して、必要なものを頭の中でリストアップしていく。すると背中に突然負荷がかかった。
「・・・臨也さん、重いです」
「・・・・・・・ずるい」
「は?」
「あの双子ばっかずるい。姉さん甘やかしすぎじゃない?俺だってまだ姉さんが帰ってきてから一度も出掛けてないのにさ。しかも姉さんから誘うなんて」
ずるいずるいと背中に懐く大の男に、帝人は呆れのため息を吐いた。気持ちは「甘えん坊の筆頭が何を言うか」である。しかしながら、甘やかしている帝人も帝人なので、強くはいえない。
しょうがない。だって帝人は本当に弟と妹達が可愛くて仕方が無いのだ。
お腹にがちりと組まれた掌に、そっと触れる。ぴくりと動いたそれはすぐに外させまいと力が籠った。(馬鹿だなぁ)と想いながらも、帝人は微笑んだ。
「臨也さんのお仕事は何時に終わるんですか?」
「え?・・・・ああ、相手によるけど、夜遅くはならないと思う」
「なら、夕飯準備して待ってますから、早めに終わらせてきてください」
「へ?」
「今夜は臨也さんの好きなもので揃えておきますから」
肩越しに重なる視線。切れ長の紅い眸が瞬き、そして甘く蕩けた。
「そ、速攻で終わらせてくる!絶対何が何でも終わらせてくるよ!」
「手抜きは駄目ですよ」
「うん!」
今度はごろごろと音が聞こえそうな位上機嫌になった義弟。まったくどうしようもない。弟妹達も、僕も。
「あーー!イザ兄ってばミカ姉に抱きついてる!ええいこうなったらクル姉行くよ!」
「応(もちろん)」
「え、ちょ待って、クル、マイ・・・!」
ほとんど体当たりに近い状態で双子が抱きついてきた。背中に臨也を貼りつけていた帝人には逃げ場が無く、そのまま床に倒れ込んでしまった。
「おい、お前ら離れろ!姉さんが潰れるだろ!」
「イザ兄こそ離れてよ!」
「次(今度は私たちが抱きつく番なの)」
ぎゃんぎゃん騒ぐ弟妹に帝人はやっぱりこのまま閉め出そうかと思わずにはいられなかった。





(いい加減にしないとまた雲隠れしますよ)
(((すみませんでした!)))