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最高無敵で最愛のお姉さま!@11/27追加

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愛を想う人




ぱたぱたと朝早くから動いていた帝人は、寝室の扉を開ける。そして相も変わらずひとのベットを占領している弟に声を掛けた。
「臨也さん、僕出掛けてきますので、戸締りお願いしますね」
「んー、・・・どこいくの」
「静雄さんと買い物に」
「ああ、静ちゃんとね・・・・・・・・・・はあああ!??」
「じゃあ、行ってきます」
「ちょ、ま、ストップ姉さん!何で静ちゃんと!?」
「約束してましたから」
「約束って!俺聞いてないよ!!」
「言ってないですもん」
「もん、てそんな可愛い・・じゃなくて!」
「言っておきますけど、邪魔とか妨害とかしないでくださいね。僕の買い物に静雄さんが付き合ってくださるんですから」
「俺でもいいじゃん!」
「・・・・・・・・・・・臨也さんは、ちょっと」
「どうゆう意味!!?」
「とにかく、付いてこないでくださいね。もし、尾行とかしたりしたら、二度とうちの敷居跨がせませんから」
帝人は本気の目で笑った。
臨也はがくがくと首を縦に振る。
いつだって姉は最強なのだ。










彼女は何一つ変わらなかった。
俺の異常な力を見ても(知っていても)、彼女は出会ったときから変わらない態度で接してくれた。
ただそれだけで彼女は俺の特別になった。






「付き合ってくださって、ありがとうございます、静雄さん。」
長い黒髪が動きに合わせてさらりと流れる。
「いや、俺が言いだしたことですから」
気にしないでいいと首を振れば、彼女は擽ったそうに笑った。
「お礼にお昼奢らせてくださいね」
「・・・・はい」
最初から静雄に異存は無い。彼女の傍に居れるだけで満足なのだ。あの天敵が弟という立場を利用してあらゆる妨害を静雄に仕掛けてくる中で、彼女と二人で並んで歩いてるだけでも、ほとんど奇跡に近い。しかも9割の確率で邪魔が入るのだが、今のところその気配は無い。静雄は帝人は事前に臨也に牽制していたことは知らないが、何となく気付いていた。ゆえに、今の自分は昔からの友人や知人が見たら気味悪がられるほど機嫌良いのだろう。頭一つ分の身長差のせいか、彼女は静雄を見る時、自然見上げる態勢になる。長い睫毛が縁どる上目づかいは強力だ。
「そういえば、この前幽さんが主演されてる映画見ましたよ」
「あ、ああ、どうでしたか」
「ふふ、とても感動しました。年甲斐も無く、人前で泣きそうになったぐらい」
「・・・あいつが聞いたら、喜びます」
嘘ではない。己の弟である幽も、彼女を慕っているのだ。自分のように下心が付随するものではなく、母や姉を慕うような愛で。
羨ましいなと思う。演技以外は感情表現がほとんど無い弟だが、言動は素直だから惜しげも無く彼女に伝えられるその強さが羨ましい。感情の起伏が激しい癖に、臆病で二の足を踏んでばかりの自分とは正反対だと静雄は自嘲する。
(それでも、)
「この前、幽に帝人さんが帰ってきたこと伝えたら会いたがってました」
「本当ですか?嬉しいなぁ、私も幽さんに会いたいです」
「じゃあ、今度幽の休みにでも、また」
一緒に、そう言いかけて止まる。臆病で、もう傷つくのも傷付けるのも嫌なのに、それでも愛されたい愛したいと獣のように叫ぶ自分が居る。
彼女に、愛されたいと。
帝人がふわりと長い髪を靡かせ、振り向いた。
「ええ、静雄さんと幽さんと3人で、一緒に」
綺麗に微笑む彼女はいつだって、臆病風を吹かす自分の欲しい言葉をくれるのだ。敵わないなと静雄は苦笑する。いつか自分も彼女のように、彼女が望む言葉を 与えられたらいい。そうして、隣に居られればいい。相変わらず彼女の弟は気に食わないし、殺したくなるぐらい嫌いだけれど、帝人が笑っててくれるならば。
「――次はどこに行くんですか?」
「そうですねぇ。食器が欲しい、かな。一人暮らしなのに、来客が多くて」
「じゃあ、昼食べたら見に行きましょう」
「そうですね」
それで、いいのだ。






(今はまだ、次の約束を共有できるだけで、)