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心中日和

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俺と、俺の恋人である柳生比呂士が口をきいたのは、今日がはじめてだった。
 四時間目が終わってさあ弁当だというざわついた雰囲気の中、自販機で何か買おうと廊下を歩いていたら、柳生が教室から出てきたのが見えた。
 偶然に感謝しつつ、奇妙にくすぐったいような感じに唇が緩むのをおさえようとしていると、てっきりすれ違うことになるとばかり思っていた柳生はすっとこっちに寄ってきた。
 足を止めて、俺は首をかしげた。
 一歩の距離をおいて俺と向き合って立ち、柳生は口を開いた。
 いつものように柳生の目は見えなくて、俺は柳生が何を考えているか分からなかった。
「仁王くん」
 名前を呼ばれるのははじめてだった。
 柳生はこんなふうに俺を呼ぶのか。
 じんと、体にその音がしみこむようだった。
 なぜだか喉がかわいて、言葉がでなかった。
 まばたきもできなかった。目が柳生から離れなかった。
 ああ、と返事ができなくて、俺はかすかにうなずいた。
「そろそろ」
 柳生は途中で言葉を切り、普段の柳生らしくない、少し切り出すのに勇気がいる、といったためらいを見せ、一度んん、と咳払いをした。
 そして緊張したように唾を飲み込み、もう一度口をひらいた。
 俺はびっくりするほど真剣に、その唇が動くのを見つめていた。
「あの、そろそろ、心中しませんか」
 柳生の言った言葉を理解するまでに、一秒かかった。


 俺と柳生は付きあっていた。
 客観的にそう見えるかは分からない。
 俺たちは、話したこともなく、二人で出かけたことなどあるはずもなく、近くにいたことさえもあまりなかった。
 転校してきて、テニス部に入って、出会うなり俺は柳生を好きになった。
 柳生も俺を好きになった。
 こんなことははじめてだった。
 立海が文武両道をモットーに、進学にも部活にも力を入れているというのは知っていた。
 前の学校でテニスをやってはいても、別に転校してからも続けようという意思はなかったのだが、隣の席の女子の熱心な薦めを無碍にするのも気がひけた。
 けれど、俺のテニスは悪ふざけがすぎると敬遠されがちだ。こういった真面目な学校ではなおさら受け入れられまいとたかをくくって、部活を見学にしにいった。同じクラスの幸村が案内をしてくれた。
 うちの部活は強いよ。
 仁王は、いくつくらいからやってるの?
作品名:心中日和 作家名:もりなが