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永四郎は穴だ

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永四郎は穴だ(前提)。
俺にはたくさんの兄弟がいる(結果)。

かっちりと整えた髪を撫で付けるように抑えながら、少し猫背気味に永四郎は何やらデータをまとめていた。
もうみんな帰ってしまっていた、人がいない部室はなんだか奇妙な感じがした、別にどこが変なのでもないけど、どこか。
「永四郎」
「なあに、平古場クン」
永四郎は手を止めず、こちらも見ないまま答えた。
わざわざ机を回りこんで向かいに座ってみたが、顔を上げない。
「俺とさ、知念と甲斐と田仁志と」
「うん?」
「穴兄弟ってヤツじゃん」
「あはは、そうね」
「お前ヤッてんの俺たちだけじゃねーだろ」
「何言うのよ、急に」
どうしたの、と聞いてくるがその声に動揺はない。
「何かあったの、平古場クン」
永四郎は目だけをあげてちらりと俺を見た。いやらしい目つきだと思った。
「べっつに」
ただお前が教師に連れられて体育倉庫に入るのを見ただけです。
お前と同じクラスの奴と入るのも見ただけです。
もう卒業したはずの先輩と入るのも見ただけです。
てゆうかお前は体育倉庫が好きすぎです。
たまたま見かけた、だけでこれならお前は俺の、俺たちの知らないところでどんだけどんなことをしてるんだろう。
とか、そういうことを考えるとイヤな気持ちになる。
「お前はさあ、なんで一人や二人じゃ満足しねーの?」
「そうねえ」
永四郎はシャーペンを唇にあてて、うーん、と天井を見上げた。
いつも薄く開いた唇のエロさが、そういうことをすると強調される。
いろいろなことを思い出して俺は唾を飲んだ。
俺はこの唇にキスをするのが好きだ。
永四郎は、何をされるのも好きだ。
「なんでだろうねえ」
永四郎は唇を軽くとがらせて、軽い調子で言った。
「お前、そこらのオヤジとか観光客とかともヤッてるだろ」
馬鹿にした口調で言った。
でまかせだった。
そんなことしないよ、と眉をしかめてほしかった。
永四郎はさっきと変わらない調子であははと笑っただけだった。
俺は嫌な気分になった。
永四郎は誰に独占される気もなかった。
俺は永四郎を独占したかった。
「どうしたのよ、平古場クン」
もう一度聞かれた。
やっぱり唇はうすく開いていた。
肩をつかんで引き寄せた。
シャツを通して手のひらに伝わる、思いがけないほど高い体温になんだかぞくりとした。
永四郎は目をつぶった。
作品名:永四郎は穴だ 作家名:もりなが