二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

不幸なしあわせもの

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

そんなあんたの歪みさえ許してあんたの望むとおりに別れるだなんて暴力をふるってあげる俺の優しさに涙が出そうだ。
「ぐっ、赤…っ」
「黙れよ!別れるっつってんだろ!」
「う、あっ…う…赤、也っ、いやだっ、いやだ、赤也っ、別れたくない、お前が好きだ、赤也っ、赤也ぁ」
「嘘ばっかついてんじゃねえよ!」
「信じてくれ…っ」
茶番だ。
茶番だ。
全部嘘だ。
脚本も演出も主演も全部この人。
相手役に抜擢された不幸な「しあわせもの」が俺。
柳先輩はすがりつく。
俺は殴る。
きっと明日柳先輩は顔を腫らして、
俺は部長と副部長にものすごく憎まれて、
柳生先輩と桑原先輩とに嫌われて、
丸井先輩と仁王先輩にかげで殴られるのだろう。
この人のために。
この人のために、俺たちは動いている。動かされている。
この人の、悪趣味な茶番のために。
「…………」
俺が殴る手を止めたので柳先輩は不思議そうに俺を見た。
俺はなんだかもう全部にどっと疲れてしまって言ってはいけないことが何だったかを忘れてしまっていた。
「ねえ、本当に好きな人とやればいいじゃん、こんな遊び」
「赤也…?」
少し不安そうな目。
この人は演技もうまい。自分で自分の演技に騙されているんじゃないかとすら時々思う。
「青学の」
強制終了。
俺はこめかみに全力での肘鉄を入れられ一瞬世界を見失ったが、なんとかぶっ倒れずに床に膝をついた。
世界が回る
吐き気がする。
先輩。ここは急所だよ。
わかっててやったのはわかってるけど。
言葉も出せずに、力の入らない体を立て直すのを諦めて俺は素直に気絶することにした。
俺は多分笑っていた。
何が信じてくれだよ。やっぱりあんたのシナリオじゃない。
被害者は俺。あと俺たち。
あんただけが加害者。

ねえ先輩、本当に好きな人とやって。こんなこと。
悲しくなっちゃうから。
作品名:不幸なしあわせもの 作家名:もりなが