二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

新しい日常へ一歩踏み出す

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

花が舞うような背景で笑う帝人に、男―――静雄は思わず見惚れた。
「う、嬉しいって」
自分の名に対する反応は殆どが負のモノだった静雄にとって、帝人の喜びようはある意味衝撃だった。
「ずっとお会いしたかったんです。でも、僕ちょっと前まで外に出たことが無くて、話だけ聞いてて。だから、すごく嬉しいです」
兄から語られる静雄の武勇伝は帝人の楽しみの一つだった。「悪いやつじゃないけど、暴れてる時は見境なくて怪我するかもしれないから近寄っちゃ駄目だよ」と言ってはいたが、平和島静雄は帝人が密かに会いたい人だった。暴れてないからいいよねと、帝人は静雄に向かい合う。
「僕、岸谷帝人っていいます」
「そ、そうか、岸谷帝人・・・・・・岸谷?」
静雄の脳裏にやたらハイテンションでセルティラヴ!を掲げて外さない悪友が浮かんだ。そんな静雄に、帝人は追い打ちを掛けるように「はい」と言った。
「岸谷新羅は僕の兄です」
可愛い笑顔を前に、静雄がとりあえず思ったことは、「似てなくて良かったな」であった。






帰宅した帝人は、出迎えてくれた兄に抱きつく。兄は楽しそうな弟に頬を緩ませながら、「ご機嫌だね」と尋ねた。帝人は「うん」と嬉しそうに笑った。
あれから正臣達と合流するまで、静雄とお喋りできたし、その後は正臣と杏里と三人で色々な場所へ行った。もちろん今日中には廻りきれなくて、また行こうねと約束もした。
帝人は今までずっと護ってきてくれた兄に、心から告げる。
「兄さん、僕来良高校に入って、良かった」
可愛いくて素直ではあったけれど、大人びて子供らしさに少し欠けていた弟の年相応な笑みに新羅は思わず華奢な身体をぎゅっと抱きしめた。やっぱりうちの弟は世界一可愛い!その数分後に帰宅したセルティも混ざり、おしくらまんじゅう大会が始まったのは言うまでもない。







画面が淡く光り、メールの着信を知らせる。確認すれば、正臣と杏里、そして静雄からきていた。帝人は頬を赤くしながら、それぞれにメールを返信する。ふわふわとした気分のまま、ベットに横になって、帝人は目を閉じた。明日も楽しい日になればいいと思いながら。





(あ、そういえば兄さんに静雄さんと会ったこと言うの忘れた)
作品名:新しい日常へ一歩踏み出す 作家名:いの