ずっと欲しかった(幸運男/ナイス×修正)
全力で走ったせいか思ったよりも速く彼の家に着くことができた
深夜なので呼び鈴を押すのはきっと近所迷惑だろう…
仕方がないので携帯の電源を入れ、玄関扉の前でメールを入れる
『今着いたけど入れてもらってもいいっすか?』
件名も書いてないが急いでいるので構わないだろう
…するとすぐに
『今開ける』
とだけ件名に書かれたメールが届く。
確認し終えた携帯を閉じると、ほぼ同時に扉が開いた。
「こんばんわ…大丈夫っすか?」
いつも通りの調子で明るく言うと修正もつられるように笑みを浮かべた
…苦笑いと形容したほうがいいような表情ではあったが
「まさか本当に来るとは思わなかった…ごめん」
申し訳なさそうに謝る彼に、若干の罪悪感が湧き上がる
本当は修正が電話口で「冗談だ、ごめん」と小さく呟いたのには気が付いていた
だが無視して「すぐに行く」とだけ伝え電話を切り今に至る
…来たかったから来たのだ、何も気にすることは無い
改めて修正を見つめると、いつもピシリと身なりを整えている彼には珍しく酷い有様だった
泣きはらしたのか目元がわずかに赤く
いつも上げてる前髪は乱れて降りていた
そして、顔を洗ったのだろうか? シャツの首元がわずかに濡れている。
きっと無理に取り繕おうとしたんだろう
そのことを考えると胸が締め付けられるように痛むが、それを彼に気取られないようにニコリと微笑む
「別にいいんすよ、中に入れてもらってもいいっすか?」
「ああ、すまない」
靴を脱ぎ廊下を進むとリビングが見える
驚いたことに、久々に入った修正の部屋は僅かに散らかっていた
…さっきの様子といい無理やりにでも来て良かったと改めて思う
「本当にすまないな、こんな時間に…こんなことで」
「気にしないで、やりたくてやってるだけっすから」
ニコリと安心させるように笑いかけると修正はほ…と息を吐き出した。
来ないなんて有り得ない
だって、こんなに弱った修正
…破れた恋の話題…
「大丈夫?泣きたいなら泣いてもいいっすよ?」
どう考えてもチャンスじゃないか
作品名:ずっと欲しかった(幸運男/ナイス×修正) 作家名:ノゾム@ナイ修布教中!!