蒼ノ眼
落ち着きを取り戻した海斗が腕組みをしながら言った。
慎太郎の眉がはねた。
「お前、本気で言ってるのか?」
慎太郎の声が低くなる。
海斗は慎太郎から眼をそらして、俯いた。
「お前とお前の嫁の眼はどっちも黒。青い眼になる確率は極めて少ない。もし、青い眼が生まれてきたとしても・・・。」
慎太郎はそこまで一気に言い切ると、深呼吸して続けた。
「俺は、24年間医者をやってるが、あそこまで、蒼い眼はみたことがない。」
海斗はそこ声と同時に走り出す。
向かう場所は決まっている。赤子のところだ。
「海斗?どうしたの?」
切羽詰った海斗を不思議そうに見つめる亜理紗を無視し、海斗は赤子のまぶたを上げる。 海斗は愕然とした。
そこには、まるで深い海を思わせるようなどこまでも蒼い瞳が姿を現す。
夜の医療施設に悔しい叫びが響いた。