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ゲルマン一家奮闘記 【4話目追加】

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1.一日の始まり

ゲルマン家の朝は早い。
陽が昇り始めれば、各部屋のドアが静かに開き、それぞれの住人が身支度を整えて出てくる。皆ができるだけ音を立てないように気をつけながら、ぞろぞろと廊下を歩いていく。
その微かな足音に気づいた犬達がいっせいに起き上がるとぶんぶんと尾を振った。
声をかけることもなく、ぽんと右腿を軽くたたけば、犬達は行儀良く主達の隣について歩いた。
玄関からは殊更ゆっくりと慎重に外へと出る。
「よっしゃ行くぜ!」
朝の澄み切った空気を胸一杯に吸い込めば、体の底からエネルギーが湧いてくる。
一人息巻く長男の足元では、今か今かと愛犬がそわそわとしていた。
「・・・ウルサイのである」
「兄さん、声が大きい」
寝起きにもかかわらずテンションの高い兄を弟たちは嗜め、父親はそんな息子達を残して一人走り出してしまった。
それに気づいた犬達が我も我もとせかすようにリードを引き、
「我輩も先に行くぞ」
と三男も後を追って走っていってしまう。
「俺達も行こうぜ!」
「だから声が大きいと言っている」
近所迷惑だと眉を顰める四男を気にもせず、猛スピードで長男もその後を追いかけていってしまった。
いつものことだが落ち着きがない、と四男は呆れたように息を吐き、じっと大人しく控えていた愛犬の頭を一撫ですると、力強く地面を蹴った。
「父さん、今日はどこまで?」
「中央駅までと考えている」
「十キロ先だな。よし、競争しようぜ!」
「貴様には負けん!」
「ま、待て!おい、兄さん!」
「・・・・・」
「親父、ルッツ、早くこいよ~」
まだ薄暗い閑静な住宅街の中を、五人の男達はそれぞれのペースで駆け抜けていく。
それは、ゲルマン家における毎朝の光景であった。