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ゲルマン一家奮闘記 【4話目追加】

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2.コーヒーをもう一杯

食事全般は、長女の仕事である。
それまでは長男が取り仕切っていたのだが、彼女が包丁を握れるようになると、自然と役割交代となった。
「おはよう」
と、キッチンで朝食の準備をしていた長女に声をかけたのは次男である。
彼と末っ子だけは早朝ランニングには参加していない。
「おはようございます、兄さま」
ニコリと笑って挨拶を返してくれる妹に、めげぇなと目を細めながら、カウンター席に腰掛けた。
来る時に取ってきた新聞を広げ、ゆっくりと目を通す。
カチャカチャと食器が触れる音と、微かに聞こえる可愛らしい旋律。
いつもと変わらない緩やかで心地よい朝に、知らずと次男の口角はあがっていく。
ふわりと鼻をかすめる香ばしい匂いに顔をあげれば、
「コーヒーをどうぞ」
「ん」
マグカップを持った妹が微笑んでいた。
次男は妹の淹れてくれるコーヒーが好きだった。とても優しい味がするからだ。
どんなに有名な専門店であろうが、このコーヒーに勝るものはないと思っている。
「お兄様達、そろそろお帰りでしょうか」
準備の済んだ長女もマグカップを片手に、次男の隣に座った。
「そうだない」
次男は柱時計を見て頷く。時計の針は六時を指している。
窓から差し込む光も明るくなった。
「しゃでい、起すか?」
朝食は家族全員揃ってとるのが、ゲルマン家の規則だ。
まだまだ夢の世界にいる末っ子を起そうと次男は腰をあげるが、
「もう少し後でも大丈夫だと思いますわ」
「そうやっぺか」
少し悩みながらも妹が出した答えに、また座りなおした。
カウンターに仲良くならぶ大きな背と小さな背。

「なら、コーヒーもう一杯」
「はぁい」

これも、ゲルマン家における毎朝の光景なのでした。