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世界の終末で、蛇が見る夢。

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細く太く、やわらかく硬く、いくつもの蛇が俺自身さえも知らない深いところを突き、まさぐり、牙を立て、絡みつき、精を搾り取る。
粘膜のぬめった音に混じって鱗のこすれ合う音と、小さな小さな波のような声がする。俺の喘ぎに反応しているかのように、近くに、遠くに。
いつの間にか脱がされた覚えはないのに服は消え、封印の手袋も同様に無く、鬼の手はその異形のみを顕わに鳴りを潜めている。ふと、まとわりつく蛇に鬼の形質が混じっているのが見えた。不意に死ぬんだなと思ったが、それでもこれだけ大きな蛇ならば、鬼も一緒に喰ってくれるはずだから安心だとも思った。…美奈子先生を助けられなかったことが、唯一の心残りだけど。
思えば左手に恩師と共に鬼を封じたあの日から、俺たちはずっと一緒だった。だから…みんな同じ死出の道行きを。……ああ、あなたも共に逝くのなら。
俺はいつしか微笑んでいた。逃れられない死を前に、感覚中枢は快感のみを受け取っている。涙が出るほどに気持ちいい。
「薔子さん」
香り高い花の王。愛の花。純潔の花。秘密の花。
無意識に運命から逃げたくて、自分で決めたのだろう。…皮肉なことに、薔薇の茎が伸びる様は蛇以外のなにものでもない。逃れられなかったのだ、運命からは。
「――薔、…、さ……」
何も考えられない途方もない多幸感に押しつぶされそうな中で名前を呼んだ。彼女の、人間であった彼女を形作っていた名前を口にした。うわごとのように、祈るように…助けを求めるでもなく、ひたすら名前を呼んだ。呼ばずにはいられなかった。
一瞬でもいいから知って欲しいと願った。俺という一個の生物(いのち)があなたに恋をしたこの事実を。この想いには嘘偽りなどなかったことを。少しも操られてなどいなかったことを。
そしてそれは、あなたも同じなんだということを。