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世界の終末で、蛇が見る夢。

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学校に電話を掛けるなんて滅多にないので少し緊張したが、鵺野という名前を出すとあっさり『ああ、何か霊障などのご相談ですか?』と尋ねられた。あまりにもその対応が自然だったので、こちらもつい『ええ、多分そんなものです』と返してしまった。『それでしたら、まず校長にお取り次ぎしますので、詳しいことはそちらでどうぞ』そのまま切らずにという指示に従い保留のBGMをぼんやりと聞きながら、本当に相当に特別なんだなあと思っていると、ふいに人の良さそうな年配の男性…ここの校長先生に切り替わった。
「済みませんね、今、鵺野くんは授業中なものですから」と断わりのあとに訊ねられたのは、私の名前や連絡先といった最低限の事柄、そして依頼内容に積極的に触れることなく緊急か否かと尋ねられた。例えば生命に関わるような時は別として、放課後にならないと彼…鵺野先生の都合が付かないからだという。私の依頼は命に関わるような切迫した内容では、もちろんない。けれど、できれば早いに越したことはない。できるだけ早く話を聞いて欲しい。
「ということは、今日の夕方でも宜しいのでしょうか?」
「ええ、まあ――構わんでしょう。彼には私の方から伝えておきますから」
少しだけ他愛ない雑談を交わして、あとは学校までの簡単な道順と、それから時間を手帳に書いて電話を切る。
…何とかなるかも、知れない。
行き詰まっていた現状が動き出す予感を掴み、小さく息をつく。その後書類を整えて体調がすぐれない旨を申告し、昼過ぎには退社した。週末ということもあり、上司も同僚も最近様子がおかしかった私を案じてか、特には何も言われなかった。

普通の人。それが今、目の前にいる鵺野先生への印象だった。
TVなんかで見る拝み屋にありがちな大げさなところはかけらもなく、明るく、人懐こそうな笑顔は子供好きの若い一教師にすぎない。普通じゃないと強いて言うならば、黒ネクタイと左手の黒い手袋くらい。…どうしてだろう、その左手は嫌。一目見るなり自分でも訳の解らない嫌悪感に包まれ、怖気が立つ。…その左手は嫌、こわい、左手をそんな風にしている理由を聞くのさえ。でも、そう思いながらも一方では同じくらいの強さで左手に惹かれ、目を奪われる。…どうして? 恐くて嫌なはずなのに。それとも、恐いもの見たさというやつだろうか。
言葉もなく彼の左手を見つめ続ける私に、先生はすこし困ったような顔をして「巴(ともえ)…さん? あの、とにかくお話を聞かせてはもらえませんか?」と促した。
「あ、ごめんなさい。ぼーっとしちゃって…」
私は慌てて居住まいを正し、事のあらましを、行人さんとの思い出を、一つひとつ思い出しながら話していった。