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Lion Heart

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「ああ、大丈夫だ。これで一応、全ての作業は終了だ。」
 フランスは、アメリカから受け取った書類にざっと目を通した。
「じゃあ、オレも明日には帰るよ。」
 アメリカは、書類に目を通しているフランスにそう伝え席を立った。
「わかった。ところでアメリカ、一ついいか?」
 フランスは、アメリカの視線を捕えて確認するように訊ねた。
「なんだい?フランス。」
「お前は、独立して一人前と認められた。だが、その手を差し伸べたのは誰かを忘れるなよ。」
「あ、ああ・・・。」
 フランスは、アメリカの本心を見据える様に言うと、それだけだと軽く手を上げて書類の確認作業へ戻った。
        *
(『君がしてきた事で壊れた物の価値を、君は知るべきだ。』、か・・・。)
 アメリカは、自室へ繫がる廊下を歩きながらカナダの言葉を思い返していた。
「失った物の価値は、失った本人が一番知ってるさ。」
 アメリカは、自嘲気味に笑いながらそう呟いた。
(今まで守られてきた分、自分で立って歩くことで得る対価もある。)
(やっと、イギリスと対等な立場で話が出来る様になったんだ・・・。)
(もう、待っていてもイギリスはオレを訪ねてはこないだろう。)
(それなら、会いに行けばいい。)
(今は、追い返されるのが関の山だろうけど・・・。)
(イギリスがしてくれた様に迷惑なくらい会いにいけば、きっとそのうち向こうからも心を開くさ。)
 アメリカは、自分の中の不安をカナダに見透かされたことで暗い影を落としていた胸のチリチリした感覚を打ち消そうと必死で自分を励ました。
 アメリカは、ふいに長い廊下を進む途中で、あの中庭へ続く渡り廊下の前で立ち止まった。
その場所から見えるイギリスの部屋は、カーテンを閉め切ったままだった。
自室からは、この部屋は見えない位置にある。
その様子を見てアメリカは、またチリチリとした感覚が広がっていった。
アメリカに用意された部屋は、イギリスの部屋からは一番遠い場所でもあった。
 それは、イギリスに対するフランスの配慮でもあったのだろう。
「これで、しばらくはイギリスとは会えないんだな。」
 アメリカは、タメ息交じりに呟くと、再び自分の部屋へと歩きだした。
         



             To be continue…
作品名:Lion Heart 作家名:815