二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Boyfriend

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
僕は多分、他の人よりちょっとだけ恋愛に対する心の持ち方が違う。もっとも、違うのだということさえトランクスくんや兄ちゃんに指摘されて気づいたのだけれど。
僕は男で、僕の恋人と呼ぶ人もまた男だ。男同士でキスをしたり、そういうことをするのは少し変わっているのだという。なぜ僕の恋人が同性なのかと尋ねられれば、僕は「トランクスくんが好きだから。」と答える。好きな人と少しでも近くにいたいという気持ちは当然だと思う。以前は、トランクスくんに好きだと言われた時、キスやセックスをした時さえも、僕はなぜ僕らがそういう関係なのかは分からなかった。ただトランクスくんが僕を好きで、そうしたいと僕に言う。そして僕もまたトランクスくんを好きだったし、そういうことをするのに抵抗を感じなかったから拒む理由が無かった。だけどそれが恋であり、恋人として付き合ってゆくための確証だったと気づいた時は、そうだったのか・と妙に納得出来た。

トランクスくんは僕よりも頭が良いから、その分いろいろ悩んでいるみたいだった。憶測でしかないけれど、僕より先に、僕への気持ちの正体に気付いてしまったということも一因だろうと思う。そのことを兄ちゃんに話すと、それでも僕らみたいな愛の形も決して間違いではないと言ってくれた。
兄ちゃんには僕とトランクスくんと一線を越えた時に初めて関係を話した。流石に最初は驚いていた様子だったけれど、今では僕らのことを気にかけてくれる良き理解者となっている。母さんや父さんにはいちいち事情を説明するのも面倒だから、あえて話していなかった。兄ちゃんはいきなり話しても驚くんじゃないか?と案じていた。僕もなんとなくそう思う。それでも今となっては尋ねられればなんのためらいもなく話すつもりではいるけれど、今のところ「彼女はいるのか?」という程度の質問しかされていないので、彼女はいないと答えるしかないのだった。

とにかくそんなこんなで僕とトランクスくんは一応、両想いで恋人同士という関係になっている。僕には高校生になったばかり頃、彼女がいたけれど、その子との関係は結局キス止まりで終焉を迎えた。僕に彼女を抱きたいと思う感情が湧かなかったから。その出来事がきっかけで今こうしてトランクスくんと付き合うことになったのだから、世の中は不思議だと思う。恋人という人物を持つのは初めてじゃなかったけれど、前の彼女とトランクスくんではあまりに違いすぎて恋人同士という関係にぴんとこなかった。
それでも、部屋で二人きりの時、トランクスくんはよく僕を抱きしめた。普段人前では出来ないから、と長い時間黙ったままその腕の中に僕を閉じ込めた。そんな時に素朴な疑問を抱いていた僕は、「こういうのが恋人同士なんだよね?」と口に出してみた。するとその言葉を聞いたトランクスくんは僕からちょっとだけ離れて、両肩に手を置いたまま数秒間沈黙して僕を見つめた。そして「馬鹿。」と一言だけ言うと、また僕を抱きしめた。あの時のことは今でもよくわからないし、馬鹿と言われたことにはちょっとだけむっとした。
でも否定はされなかったから、間違ってはいないのだな・と納得することにした。
抱きしめられたりキスをすることは嫌いじゃない。トランクスくんがそうすることで笑顔になったり、幸せだと感じるなら僕も嬉しい。それがすべて。僕らはそういう恋人同士だった。

作品名:Boyfriend 作家名:サキ