【東方】東方遊神記9
さて、じゃあ時間を少し戻して、今度は天魔とにとりの会話内容を見てみよう。因みにちゃんと(笑)盗み聞きしているのは青蛙神のみである。
「ですからっ、どうして認めてくださらないんですかっ!?」
にとりはもう結構な興奮状態であるようだ。青蛙神は勿論、彼女以外にも誰が聞いているかもわからないのに、大きな声で御影に噛みついている。
「・・・何度でも言うけど、一定基準の安全性の確保が保障されない研究は許可できないわ。それに、私たちはあなたが成し遂げた電気エネルギーの常産性の確立と、効率的な有効利用の発明のおかげで充分豊かな生活を送れている。絶対不可欠なものならばいざ知らず、特に必要に迫られていないもののための研究で、しかも少なからず危険性を伴うのなら、御山を守るものとして、賛成はできない。それに、私が許可すればいいという問題でもないでしょう?研究を進めるためには、あなたが言っていた地底に住む八咫烏を取り込んだ地獄鴉の協力が絶対条件。言うまでもないことだけど、地上に住む存在にとって、地底や地底に住んでいる存在は忌み嫌う対象。あなたや文の報告のおかげで、私は地底はそんなに嫌な所じゃないということを理解できているつもりだけど、大多数は地底を嫌い、恐れている。研究を進める以上、地底とも交流を持たなければいけない。私はいいけれど、他の皆、特に老人たちを納得させることがあなたにできる?」
御影はいたって冷静だった。御山に住む全ての妖怪の頂点である天魔という立場上、彼女は全員の平和な生活を守らなければならない。それこそ、研究をしたいというにとりを初めとした河童の技術者たちも含む全員だ。だから、河童たちが新エネルギーの研究において怪我をするなどということも看過できない。美理は話を振られるまで黙っているつもりなのか、御影が座る上座の斜め後方に歩幅二歩分ほど間をあけて同じように座って控えていた。御影や美理が座っているところは広さ六十畳ほどの謁見の広間の約三分の一を占める部分で、にとりが立っている場所と比べて一段高くなっている。床は全面畳張り。
(三足鴉を取り込む?そんなことが本当にできるのか?)
青蛙神は顕界の大陸でたった一度だけだが太陽の化身『三足鴉』の姿を見たことがある。神格としてはそれほど高くはないのだが、遠目からでもその炎の力がすさまじく、まさにその名に偽りは無しといった風貌であったと記憶している。そのような強大な力を地獄の一妖怪が簡単に取り込むことができるものなのか?俄(にわ)かには信じられなかった。「ですから、他の大天狗の方たちや、御山の皆に認めてもらえるよう天魔様の御力をお借りしたく、こうして足を運んでいるのです!天魔様に認めていただけさえすれば、後のことは私一人の力でもやってみせます!」
これは実際に地底を見てきたにとりにとって、地底の者たちに協力を得られる自信があるのだろう。にとりも実際に地底の状況を目の当たりにする前は、他の妖怪たち同様見たこともない地底を恐れ、嫌っていた。そういう風に教えられてきたからだ。しかし、魔理沙のサポートとして遠隔から画面越しに見聞きした地底は、昔から言い伝えられているような嫌悪空間では全然なかった。確かに怨霊や死体の行きつく先である灼熱地獄があった場所なので、そういう類が沢山居たり、あったりするのだが、それを管理する奴らや、地底の有力者たちが一様にして陽気であったり、豪快であったり、物静かであったり、おバカさんであったりと、とても親しみやすい人物ばかりだったのだ。その中の一人は天狗や河童が敬遠する鬼もいたりするのだが。
今では自ら地底の灼熱地獄跡地へ現地調査に赴き、レポートを取ったり簡単な実験をしたりしている。勿論これは灼熱地獄跡地の上に地霊殿という館を築き、灼熱地獄跡地の管理を任されている館の主『古明地(こめいじ) さとり』の許可を得て、現場担当の一人である火車(かしゃ)の化け猫『火焔猫(かえんびょう) 燐』の立会いの下行われる。地霊殿にはこの二人の他に後もう二人重要な人物がいて、その内の一人が先ほど御影が話していた八咫烏を取り込んだ地獄鴉『霊鳥路 空(れいうじ うつほ)』である。地霊殿に住む住人たちについては後述するが、要するに、にとりは地霊殿の住人たちとある程度の信頼関係は既にできていた。このことも、にとりの自信につながっているのだろう。
「灼熱地獄跡にしっかりとした核融合炉を造り、お空に手伝ってもらいながら私達御山の技術屋たちが総力を挙げて研究を進めれば、きっと今利用している水力発電や、風力発電と比べて何十倍・・・いや、何百倍もの電気エネルギーが生み出せます。そうすれば、人間の里にも電気エネルギーを供給できる。それによって御山に入ってくるお金も増えますし、天魔様が以前から進めている人間との協和の道も大幅に進めることができるはずです。ほらっ、天魔様にとっても沢山のメリットがあるじゃないですか。それに、この新しいエネルギーは、電気エネルギーの生産だけにしか使えないというわけではないはずです。あれだけの熱量だ、加工の仕方によっては・・・」
「・・・強力な武器も作れる?」
「ですからっ、どうして認めてくださらないんですかっ!?」
にとりはもう結構な興奮状態であるようだ。青蛙神は勿論、彼女以外にも誰が聞いているかもわからないのに、大きな声で御影に噛みついている。
「・・・何度でも言うけど、一定基準の安全性の確保が保障されない研究は許可できないわ。それに、私たちはあなたが成し遂げた電気エネルギーの常産性の確立と、効率的な有効利用の発明のおかげで充分豊かな生活を送れている。絶対不可欠なものならばいざ知らず、特に必要に迫られていないもののための研究で、しかも少なからず危険性を伴うのなら、御山を守るものとして、賛成はできない。それに、私が許可すればいいという問題でもないでしょう?研究を進めるためには、あなたが言っていた地底に住む八咫烏を取り込んだ地獄鴉の協力が絶対条件。言うまでもないことだけど、地上に住む存在にとって、地底や地底に住んでいる存在は忌み嫌う対象。あなたや文の報告のおかげで、私は地底はそんなに嫌な所じゃないということを理解できているつもりだけど、大多数は地底を嫌い、恐れている。研究を進める以上、地底とも交流を持たなければいけない。私はいいけれど、他の皆、特に老人たちを納得させることがあなたにできる?」
御影はいたって冷静だった。御山に住む全ての妖怪の頂点である天魔という立場上、彼女は全員の平和な生活を守らなければならない。それこそ、研究をしたいというにとりを初めとした河童の技術者たちも含む全員だ。だから、河童たちが新エネルギーの研究において怪我をするなどということも看過できない。美理は話を振られるまで黙っているつもりなのか、御影が座る上座の斜め後方に歩幅二歩分ほど間をあけて同じように座って控えていた。御影や美理が座っているところは広さ六十畳ほどの謁見の広間の約三分の一を占める部分で、にとりが立っている場所と比べて一段高くなっている。床は全面畳張り。
(三足鴉を取り込む?そんなことが本当にできるのか?)
青蛙神は顕界の大陸でたった一度だけだが太陽の化身『三足鴉』の姿を見たことがある。神格としてはそれほど高くはないのだが、遠目からでもその炎の力がすさまじく、まさにその名に偽りは無しといった風貌であったと記憶している。そのような強大な力を地獄の一妖怪が簡単に取り込むことができるものなのか?俄(にわ)かには信じられなかった。「ですから、他の大天狗の方たちや、御山の皆に認めてもらえるよう天魔様の御力をお借りしたく、こうして足を運んでいるのです!天魔様に認めていただけさえすれば、後のことは私一人の力でもやってみせます!」
これは実際に地底を見てきたにとりにとって、地底の者たちに協力を得られる自信があるのだろう。にとりも実際に地底の状況を目の当たりにする前は、他の妖怪たち同様見たこともない地底を恐れ、嫌っていた。そういう風に教えられてきたからだ。しかし、魔理沙のサポートとして遠隔から画面越しに見聞きした地底は、昔から言い伝えられているような嫌悪空間では全然なかった。確かに怨霊や死体の行きつく先である灼熱地獄があった場所なので、そういう類が沢山居たり、あったりするのだが、それを管理する奴らや、地底の有力者たちが一様にして陽気であったり、豪快であったり、物静かであったり、おバカさんであったりと、とても親しみやすい人物ばかりだったのだ。その中の一人は天狗や河童が敬遠する鬼もいたりするのだが。
今では自ら地底の灼熱地獄跡地へ現地調査に赴き、レポートを取ったり簡単な実験をしたりしている。勿論これは灼熱地獄跡地の上に地霊殿という館を築き、灼熱地獄跡地の管理を任されている館の主『古明地(こめいじ) さとり』の許可を得て、現場担当の一人である火車(かしゃ)の化け猫『火焔猫(かえんびょう) 燐』の立会いの下行われる。地霊殿にはこの二人の他に後もう二人重要な人物がいて、その内の一人が先ほど御影が話していた八咫烏を取り込んだ地獄鴉『霊鳥路 空(れいうじ うつほ)』である。地霊殿に住む住人たちについては後述するが、要するに、にとりは地霊殿の住人たちとある程度の信頼関係は既にできていた。このことも、にとりの自信につながっているのだろう。
「灼熱地獄跡にしっかりとした核融合炉を造り、お空に手伝ってもらいながら私達御山の技術屋たちが総力を挙げて研究を進めれば、きっと今利用している水力発電や、風力発電と比べて何十倍・・・いや、何百倍もの電気エネルギーが生み出せます。そうすれば、人間の里にも電気エネルギーを供給できる。それによって御山に入ってくるお金も増えますし、天魔様が以前から進めている人間との協和の道も大幅に進めることができるはずです。ほらっ、天魔様にとっても沢山のメリットがあるじゃないですか。それに、この新しいエネルギーは、電気エネルギーの生産だけにしか使えないというわけではないはずです。あれだけの熱量だ、加工の仕方によっては・・・」
「・・・強力な武器も作れる?」
作品名:【東方】東方遊神記9 作家名:マルナ・シアス