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the end of shite

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#1 女の子の部屋


自分の家ではまず嗅ぐことのないような香水の芳香が鼻をつく。絨毯も、ベッドシーツも、クッションも、そして目の前にいる人物の服さえもピンクだ。彼女に関わらなければ見ることなく死んでいったかもしれないような、キツイ色のマニキュアばかりが先ほどから目に痛い。
彼女はマンションの小さな1Kの一室に住んでいる。高校が自宅から遠く通学が困難だったために、中学校卒業と同時に都心で一人暮らしをすることに決めたのだという。その部屋は確かに他の人物が住んでいるような気配がなく、まるっきり空気までもが彼女のものだった。知らない領域に踏み込むことは、何も情報の無い敵と戦うかのように、若干の恐怖感がある。気付かない間にそれが顔に表れていたのかもしれない。目の前の女性は目ざとく自分の変化に気付いた。

「緊張しているの?」

ブロンドのウェーブがかかったロングヘアが揺れて、あのキツイ色のマニキュアを塗った指先が自分の頬をなぞる。目の前でキャミソールの合間から覗く豊かな胸を見つめた。本当のところ、なぜかそんな胸でさえ自分を駆り立てるようなものを感じない。興奮しない。それどころか、驚くくらいに冷静だ。これならば本当に戦っている時の方がまだぞくぞくする。そんな意識を淵へと追いやって、向かい合う女性に口付ける。「別に。」その言葉の後に会話は要らない。二人とも人間特有の感情を忘却の彼方へ投げやり、動物のように絡まり、繁殖行為に精を出す。自分の下に位置する女性が生まれたままの姿になったその全てを見た瞬間、なぜか脳裏によく知る幼馴染の顔が浮かんだ。思想に蔓延る残像を振り払うかのように、がむしゃらに堅苦しい制服を脱ぎ捨てる。何もかもを忘れてしまいたい。無我夢中で女性の体へ手を伸ばす。自分を包むピンクの空間のせいで、自分までピンクになってしまいそうだ。

作品名:the end of shite 作家名:サキ