シスターコンプレックス
帝人が引っ張る形で、保健室までの道をほてほてと二人歩く。
そういえば、昔こんなふうに手を繋いで帰っていたっけと帝人がふと笑うと、繋がった手のひらの力が強くなった。
「姉さん」
「はい」
「姉さん姉さん」
「はい」
「姉さん」
「はいはい。何ですか、臨也さん」
「姉さんはずっと俺の傍に居てくれるんだよね」
「・・・・臨也さん」
「俺が呼べば、すぐに返事してくれる場所に居るんだよね。俺の前から居なくなるなんて、しないよね」
当たり前のように愛する姉の傍に居る二人の人間。どけ。そこは俺の場所だ。どうして、お前らが。何で姉さんはそいつらを許すんだ。姉さん、姉さん、
「姉さんは俺の隣にいるべきなんだ。―――そうだろう?」
歩みは止まり、二人向かい合い視線を交わす。それでも手だけは繋がれたままで。
「大丈夫です。・・・大丈夫ですよ、臨也さん。僕はここに居ますから」
それに、とそう言いかけて帝人は姉の顔で優しく微笑んだ。
「手のかかる弟の世話は姉の役目ですから」
紅い目が見開かれ、そして甘く蕩けた。
「なら、俺ずっと手のかかる弟でいるよ」
「ちょっとは自重してくださいね」
(ただいぎゃあ何その包帯人間!)
(紀田君です)
(ああなんだ正臣か・・・・って、あれ?そんなに怪我ひどかったっけ?)
(これは、その、・・・ちょっと)
(さすがエロ可愛い杏里・・・見事な太刀捌きだった・・・ぜ・・・・)
(ああなんだ園原さんか)
(ってそれだけかよ!?)
(え?他に何が?あ、そうか。園原さん・・・グッジョブ!)
(い、いえそんな、それほどでも・・・)
(二人ともひでぇ!)
作品名:シスターコンプレックス 作家名:いの