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ありえねぇ !! 5話目 前編

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うんうんと彼女は大げさに首を上下に振りたくった後、素晴らしい笑顔を浮かべたまま、静雄の両手をがしっと引っつかんだ。

「ああ、簡単よぉ~。別の男を宛がっちゃえばいいの」
「へ? その男にか?」

果たして、紀田が納得するような帝人レベルの代変品など、自分に見つけられるだろうか?

「無理だ。知り合いにそんな可愛い奴、全くいねぇぞ」
「違う違う、私が言ってるのって少年の方。できれば、その元恋人が絶対敵わないぐらい、腕っ節が強い奴を、少年の新しい恋人だって事にして、相手を諦めさせるの。偽装で十分よ♪」
「ああ、そういう事か。成る程」

それなら何とかなりそうだ。
最悪、自分が体張って出て行けば、少なくとも力づくで、記憶のない帝人が手篭めにされる事はあるまい。

「ありがとよ、お前やっぱすげぇ。マジ参考になった」
「ねぇねぇ、少年はどんな子?」
「あ……、ああ、俺の母校の後輩なんだけど……」
「年下ね。いくつぐらい♪」
「えっと…八か九……っつたかな?」
「可愛い子?」
「ああ、チワワみたいでとびっきり」
「きゃああああああ、犯罪よ。未成年淫行罪よ、ブラボーvv」
「何がだ」

打開策を授けてくれた恩人だけど、こいつの目、薬をキメてるみたいにいっちゃっててヤベェ。


「しかも【受け】♪。ならもうシズシズでいいじゃない~♪ ビバ三角関係、略奪愛最高~♪ 写真ないの? 実物見せて?いっそ 紹介してvvつーかしろ!! 今直ぐに!!」
「てめぇ、うぜぇ!!」

静雄が怒鳴った途端、ワゴン車の扉が、とてもいい音を立てて開いた。
そしてそこから飛び出してきた遊馬崎ウォーカーと、運転席側から駆け出してきた渡草が、物凄い勢いで狩沢を抱え、バンの中に放り込み、鍵をかける。

「静雄、一応これでも女だから」
「……わかってる……」
そして必死の形相で、門田が静雄の振り上げた拳を頭上でがっきり抑え、己自身も振り上げた拳を落とさないように、ぐぐっと我慢する。

それでもガラス一枚隔てた中では、狂気乱舞する狩沢が、「シズシズ行けー♪ GOGO-♪♪」と、延々と訳判らない奇声を繰り返し発し続けている。

「………判ってんだけどよぉ……、あの女の態度がムカつく!!……」
「……静雄、聞いた相手が間違っていたと思って、諦めろ……」
己の拳をぐぐっと握り締めて封じ、ぶるぶる全身を震わせる彼に、門田が慰めるようにかポンと肩を叩いた。



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