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リヲ(スランプ中)
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novelistID. 4543
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犠牲になった分も・・・

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夢で終わらないように誓いを立てる



・・・ここはどこだろうか・・・


ぼんやりと目を開くと其処は穏やかな風が吹く大きな建物の前。

「待てよー!このウサギヤロウー」
子供たちが追いかけているのはアルビノの少年。
「やめるんだっ!」
助けることになんの躊躇いもなくアレルヤはアルビノの少年と他の少年たちの間に立つ。
「なんだよ!大人がでてくんなよっ」
「大人も子供関係ない。苛めなんて卑怯なことは許せない」
睨んだつもりはないが元々目つきが鋭いためか見下ろされた子供たちは怯んでしまう。
「な、なんだよっ!お前もコイツとおんなじバケモノじゃないかっ!
みんな逃げろーっ」
オッドアイの瞳に気がついたリーダー格の言葉一つで子供たちは逃げて行ってしまった。
「あ・・・・・・。・・・この目のせいで怖がらせちゃったな・・・。
君は大丈夫?」
できる限り怖がらせないように微笑んで少年と目線を合わせるために屈む。
「・・・・・・ええ、平気です。慣れていますから」
微笑む少年の目には疲れが見て取れる。
・・・もしかしたら研究員に笑えと言われた自分もこんな笑い顔だったのかもしれない。
厭世的な・・・すべての希望を失ったような目。

それとも・・・最初から希望なんてなかった・・・・・・?

「っ!」
ゾクリと全身を言いようのない震えが走る。

はじめっから ぼくには なにも なかった

そのことを思い出してしまったから・・・・・・。
震える体を抱きしめて蹲る。
それを少年は心配そうに手を伸ばそうとして、空中で止まっている。
その優しい手を両手で握り締め微笑む。
「僕なら大丈夫・・・怖いのはもうなくなったからね」
そう・・・もう怖いのはいない。
ふと、少年の額に血が滲んでいるに気がついた。
「あ・・・・・・、額・・・怪我してるね。手当てしようか・・・」
少年の手を引くと抵抗もなく少年はついて歩く。
それすら昔の自分を思い出してしまう。
(違うっ。この仔は僕じゃない・・・。
僕は・・・兄弟たちにこんなにも優しく手を差し出したことなんて・・・!)
「あ・・・っ」
気がついたら手を強く握られていた。
心配するどころか、逆に心配をかけてしまっている。
そのことに苦笑すると気を引き締める。

大きな木の下で少年の手当てをしながら見ていると、少年もこちらを見ているのに気づく。
「どうかした?・・・あっ、消毒薬が痛かったのかな・・・」
少年は首を横に振り否定の意を示す。
「平気です・・・。そうじゃなくて・・・えっと・・・、」
「大丈夫だよ。ちゃんと聞いているから、ゆっくり喋ってごらん」
上手く言葉を紡げない所もまるで昔の自分のようだと思う。
「・・・貴方の目、とても綺麗だと思います・・・」
小さな声でそう呟く少年の頬はほんの少しピンク色になっている。
「あ・・・ありがとう。君の目も髪も綺麗だよ、僕の大好き色だ」
「っ!・・・・・・ありがとう・・・」
白い髪はマリー。
赤い瞳は身体を巡る大切な色・・・。
頬を押さえてはにかむ少年の頭を優しく撫でる。
「・・・頑張って、悲しみに飲み込まれないで・・・ね」
そっと抱きしめると当然だけど小さい。
「生きている。それだけで僕たちは本当は幸せなんだよ・・・。
今はそれが見えにくくなっているだけなんだ・・・。
だから・・・・・・っ、」
 これは多分、自分への言葉。そして戒め。
「生きているだけで・・・幸せ・・・・・・」
「だから・・・だから・・・・・・っ」

お願い。
この少年が幸せになってくれますように。
どうか・・・平凡でも良い、人生を楽しんで欲しい。

どうしてこんな泣き言を言ってしまったのかは分からない。
でも多分、分かっていたからだろう。
この夢はもう・・・すぐにも現実の世界に儚くも泡となって消えてしまうことを・・・・・・。

「僕は、君のためにも・・・この世界をより良い世界へと・・・頑張るっから・・・っ」
 どうか愛することも愛されることも諦めないで。

少年は困惑しながらも小さく頷いた―――。



これは・・・多くの兄弟たちを葬ったその日に見た夢。
僕の一方的だけれども大切な誓いの夢。