犠牲になった分も・・・
そこで夢は終わる。
目覚めてみればいつもの部屋。
いつもの実験室。
けれどもデカルトの心にはほんの少しだが光が差している。
覚醒者が自分だけではないという安心感と、生き抜くだけの理由が手に入ったから。
「・・・そうだ、今日こそは食事に文句をつけてみよう」
傲慢なまでに生き抜く。
それは簡単なことではないけれども、ハレルヤという人間はそうやって生きているのだ。
自分ができない訳はない、とデカルトは笑みを浮かべた。
これからは文句も言ってみよう。
なにも変わらないかもしれないが、それでもただの犠牲にだけはならないと。
デカルト・シャーマンはハレルヤの後ろに見えた子供たちの影の分も生きることを決意する。
作品名:犠牲になった分も・・・ 作家名:リヲ(スランプ中)