ボーイズトーク
「イザヤァァァァァ!!!」
静雄の怒声がひびく。ここは2階であるが、きっちり届いてきた。そのときちらりと臨也の顔を覗き見した新羅は、彼の顔がすごおくいやらしくなっているのを確認して、さらに静雄に同情した。それは逆効果なんだよ、静雄・・・。
臨也はにやにやしながら静雄を見ている。その腹でなにを考えているかまでは新羅にはかることはできなかったけれど、だけど絶対ろくでもないきしょいことだろうなあということだけはわかる。ていうかもうむしろわかりたくない。
新羅は恋愛は自由だというスタンスだったし、それは自分を肯定するためのものでもあったけれど、とにかくどんな恋愛のかたちも、それに間違いはないとおもっている。だけど一言だけ言いたい。相手を思いやるのも恋愛なんだよ、イザヤ。
「・・・がんばれ静雄」
窓の外の、状況を知らない渦中の人物に心からの同情をのせて新羅はつぶやく。いつかイザヤも飽きるさ、と、新羅は悠長に心の中でフォローをしながら。だってまさか、臨也のこのまかり間違った歪んだ感情が、何年もつづくだなんて、思いもしなかったから。ほんとうに彼は、斜め上を突き進むのだ。