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【DRRR】月夜の晩にⅠ【パラレル臨帝】

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「ふーん…。ところでさ、君たちはいつまでいるわけ?誘拐の疑いも晴れたし、こっちは夜行性なんだからさっさと帰ってくんないかなー」
「あ、夜行性なんだ?」
[帝人くんが眠れないのは悪いな。すまない、帰るぞ]

セルティがやけに慌しく立ち上がると、同じく席を立った帝人を前に立ち止まる。
何となく躊躇するその姿に、新羅が口を挟んだ。

「…セルティが抱っこしてみたいらしいんだけど、帝人くん、いいかな?」
[ししし新羅!?]
「そのぐらい構いませんよ」
[本当か!!]

どうやらずっとしたかったらしい。相方の言葉に焦った様子をジェスチャーするが、許可が出ればすぐに手を差し伸べてくる。ヘルメットも外しているセルティには浮かべる表情もないのに、嬉々とした感情が読み取れる動きをしているのが奇妙だ。
幼稚園児と同じ程度のサイズで、それよりも少し軽い生き物は、軽々とセルティに抱き上げられその腕に収まった。
人であらざる者が交錯した姿に、臨也は特に何の感動も受けない。目の端で白衣がはためいて、新羅が興奮した様子で彼の愛する人を褒め称えてはいるのだが。

「……臨也、君、減るもんじゃないんだからそんなに睨まないの」
「何言ってんの!減るよ、減る!」

俺と帝人くんだけの世界が減る。時間が減る。
臨也はもう自分が玩具を独占したいだけの子供みたいな言い訳を並べたがっていることを否定できなくて、幼子を窘めるような新羅の言葉につい口を尖らせた。
指摘した新羅さえそんな様子に呆れてしまう。
帝人をふもふもしていたセルティの腕から、短い2本の腕が突き出された。

「臨也さん」

まったく見た目だけなら帝人は子供に見えるというのに、気遣う能力はよほど帝人の方が臨也よりも上のようだ。
拗ねる臨也に向けて手を伸ばし、セルティの腕から抜け出そうともがいてみせる。
臨也が手を伸ばせば、手から手へ空中で受け渡され、ぽすんと臨也の胸の中に戻ってきた。

「臨也さん」

ただ微笑んで名前を呼ぶ姿に、何も言えずに臨也は腕の中に帰って来たその体を抱きしめた。
それはすでに玩具というよりも、もっと大切な何かを取り戻したような姿。
ほんのちょっと離れただけでそんな状態の臨也に、セルティも新羅も呆気に取られる。

「……君さ。本当に折原臨也?」
「何言ってんの?だからさ、さっさと帰ってくれないかな?それから、次の満月までもう来ないで」
「うわ、やっぱり臨也か」

臨也本人も、自分が自分らしくないことをしているという自覚はあるのだから、他者から見た時の印象はそれは酷いものなのだろう。
完全にドン引きした様子で、セルティと新羅の2人は部屋を後にする。帝人の言うままに玄関まで送り届けて、鍵を閉め、そうしてようやく、部屋の中が静かになった。

「…臨也さん。あのお2人は臨也さんのご友人なんですよね?」
「さあ。俺はそうは思ってないんだけど」
「まだ機嫌悪いんですか?もう…」

大人しく腕の中に収まっている帝人は、仕方なさそうに笑ってから臨也の胸の中でコテンと力を抜いた。その耳が臨也の口の端に当たる。
客が帰った途端に眠気が襲ってきたらしい。そういえば、彼にとって今は睡眠時間の真っ最中であり、一生懸命徹夜していたのと同じ状況なのだ。
常からよく眠る子供だと思っていたので、入浴から今に至るまでの時間、本当はずっと眠かったに違いない。

「俺も眠いし、寝よっか」

戸締りを確認してから寝室に直行し、昼間の明るい日差しを避けるようにきっちりとカーテンを閉じる。夜行性の帝人にその必要はなさそうだが、こうもいい天気で明るくては臨也が眠れない。
柔らかなウサギ耳が、そうして歩くたびに僅かに口の端や頬に当たるうちに、だんだんと好奇心に駆られた。かすかにシャンプーの匂いを漂わせる柔らかな毛に包まれた耳の先端を、吸い寄せられるように口を開けてパクリと噛んでみる。歯を立てないように、そっと。

「ひぅ!?」
「はいはい、おやすみ」

敏感な薄い皮膚への痛みにビクリと警戒する。瞬間的に起きた体を、あやすようにポンポンと撫でてベッドへ降ろし、自分もその横に体を滑り込ませた。
恨めしげな視線を感じながら、臨也は満足げに目を閉じる。
そのうちに、諦めたような口調で帝人からもおやすみが告げられた。
また夜になれば今度はどこに連れて行こうか、そんなことを考えながら暖かな体温を腕の中に抱えて眠る瞬間は、極上の甘さと気持ちの良さを兼ね揃えていたのだった。


.........続きはⅡ部へ.........