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【DRRR】月夜の晩にⅠ【パラレル臨帝】

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「何だかここは明るいねー」
「ちょ、ああっ、やっちまったぜー!降りる場所間違えた!!」
「ここは違うんですか?確かに見当たりませんが………っ!?」

1人、いや1羽が浮かんだまま辺りを見回して、そして、その姿を見ていた臨也の存在に気付く。
何と呼べばいいのか、それは真っ赤に光る発光体のような目をしていて、それだけが異様に輝いて見えた。その人ならざる瞳に睨まれ、臨也はほんの少し胃の奥が浮くような感覚を得る。

「―――っニンゲンに見つかりました!」
「ええ!?」
「っくそ!!」

赤い目をした女の子らしい、黒いウサ耳カチューシャを付けた子供のようなモノが低く叫ぶと、他の2匹が驚いて同じく振り返り、そうして臨也を発見する。
彼のいる屋上の金網の上に音もなく降り立った女の子は、どこから取り出したのか、スラリと刃物を手に取った。それは彼女の体より2倍は長く、重たそうな日本刀だ。しかし難なくそれを構えた女の子が、キチリ、と柄を鳴らし、臨也へと刃を向ける。

「………え?」

突然現れた奇怪な生き物と、危険な臭いに、臨也はわずかに驚く間を空け、その後、すぐに自分を取り戻した。
危機的状況になるほどニヤリと吊り上る口角が、引き上げられる。
双眼鏡は用なしとばかりに地面に落とされ、次の瞬間、プラスティックの割れる音がやけにけたたましく響いた。

「っ!!」

君の悪い笑顔の臨也に、女の子は一瞬ひるんだが、その軽い破壊音に剣を持ち直すとフェンスを蹴って駆け出した。一直線に、臨也を狙う瞳は血よりも濃く鮮やかな紅を放ちながら迫る。
臨也は好奇心を丸出しにしながら、自分も手の中に愛用しているナイフを握った。
何にせよ、コレを手に入れて遊んでみたいという好奇心に惹かれて。

しかし今にも激突、という瞬間に、凛と響く声が届く。

「ねぇ」

その声に、脊髄反射かと思えるほどの速度で女の子は急停止し、それでもスピードを殺せずに横へと跳んで臨也との衝突を避ける。
それは、本当にウサギのような、見事な跳躍だった。軽々と浮かんだ体は、そのまま隣のビルの屋上へと足をつく。
人間の子供には、絶対に無理な動作と飛距離である。
構えていた臨也は手の中にナイフを隠しながら、声をかけた方へと目を向けた。
臨也が一番最初に見た、歌っていた男の子だった。

「ねぇ杏里さん。その人、目、赤いけど仲間じゃないの?」
「…はぁ!?帝人、そんなワケねーだろ!!あれどう見てもニンゲンだろ!!」
「そうですよ、帝人くん」
「ニンゲンは赤くならないんじゃなかったっけ?」

横から勢いよく否定される、『帝人』、と呼ばれた少年は、納得できないように首を傾げて見せた。
臨也の目は確かに赤っぽい色をしているとよく言われる。
だが、先ほどから殺意を明確に送ってくる『杏里』と呼ばれた少女と同じモノと考えられるのは少々意外というか、心外だ。
あんなあからさまな人外の生き物と一緒にされては困る。
ふんわり、と浮かんだ少年は、制止する他の2羽を他所に、臨也の近くまで浮かんでくる。
どういう原理で浮かんでいるのか、臨也はわずかに真面目な表情で考えた。

「こんにちは」

まさか、話しかけてくるとは思わなかった臨也は、わずかに目を見開く。

「ああ、ほら。やっぱり目、赤いよ?」

そう言ってコチラを覗き込んでくるナニカは、先ほどの少女とは対照的な程真っ青な目をしていた。
その瞳は、貪欲なほどの好奇心と興味を映して臨也を見る。
頭から突き出した、真っ白な毛に覆われた耳がピンとつき立って、ピクリピクリと揺れた。どうやら本当に機能している耳であり、動き聞こえているようだ。
新しい刺激に飢えた獣のような姿に、こちらも追随して興味を誘われる。
言葉が通じるのだから、話しかけに応えてもいいだろう。臨也は驚かせないよう柔らかく声を出す。

「こんばんは」
「あ、そっか。夜ですからね。こんばんは」

照れたように笑いながら、ペコリと空中で子供がお辞儀をすると、バランスが取れなかったのか、その体がぐるりと空中で一回転してしまう。
そうするとその腰の辺りに、白くてふわふわした毛の塊が見えた。
耳がある、ということは、尻尾もあるわけか。

「コラ、帝人!!さっさと戻って来い!!危ないだろ!」
「えー、待ってよ正臣、ちょっと今」

尻尾もあったことに妙に納得しながら、臨也はクスリと笑みを漏らす。仲間の少年から怒られてはいるが、『帝人』という少年はまだ、一回転した勢いでひっくり返ったままなのだ。宙に浮かぶというのも大変なようだ。
臨也は姿勢を直せない少年へとそっと手を伸ばす。

「っきゃ!?」
「っや、やめろ!!」
「へ?」

悲鳴と殺気があがる中、臨也はただの良心と、ちょっとした悪戯心でその柔らかそうな首筋を掴んで、真っ直ぐに戻してやる。
急に視界がまっすぐになったからか、少年は「わわっ」と慌てた声を挙げた。

「あ、すみません。ありが…」

感謝を述べかけたそのセリフが途中で途切れ、その小さな体がふっと大きく下へと沈む。
そのまま、ふわふわと浮かんでいた体は、臨也に首根っこをつかまれたままブラリとぶら下がった。
急に感じられる重み。

「え、ちょっと!?」

落としかけた臨也は慌ててその体を両腕で抱え直した。