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【DRRR】月夜の晩にⅠ【パラレル臨帝】

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「何だか差別用語として扱われている、と言いたそうな口調だね。人間が君達に嫌われているというなら、それも当然か。君も月ウサギの中では浮いていたの?嫌われた?だから地球に来たかったのかな?」
「っ」

臨也は、怯えたように目を見張ってこちらを見返す小さな存在に向かって両腕を広げた。
その反応は自分の想像したとおりの範疇であって、自分の理解できない静雄のような化け物連中とコレが全く別であると再確認できる。素直に嬉しい。

「でもそんなこと、俺には関係ないよ。俺は『普通の月ウサギ』も『人間の混じった月ウサギ』も会ったことがないんだから。俺はただ、目の前に現れた君とさっきの仲間しか知らないんだ。そして俺は、少なくとも君の事が嫌いじゃない。むしろとても興味引かれていると言っていいね」
「はあ……」

臨也の言葉に納得できるような納得できないような、曖昧な表情を残しながらも、好意的に受け取られていることを知って、帝人は少しだけ肩の力を抜く。
垂れ下がっていた耳が、わずかに持ち上がった。

「そんなことよりも君自身のことが聞きたいな。何を食べることが出来て、何を飲むことが出来るのか、というところから、ね?」

臨也はそう言って、もう冷えてしまった帝人のマグカップを指差す。
飲まれることのなかったホットミルクは、少しも量を減らすことなく置かれたままの状態で机に乗っていた。
それから帝人は申し訳なさそうに、牛の乳は飲めないから水でいいと言った。
入浴は好きじゃない。水に濡れるのが嫌いだと言った。
草食というわけではないが、生の野菜を好んで食べ、肉の類はほとんど食べられないと言った。
けれど臨也が試しに上げてみたクッキーを口にして、その真っ青な目が零れそうなほど驚き、そして頬を赤く染めながら夢中になって美味しいと笑った。
そうして、日が昇る頃にはゆらゆらと瞼を擦りながら頭を揺らし、そして今は夢の中だ。

「何だかなー」

ネットで出した月の満ち欠けを示すカレンダーは8日後の晩が満月だと告げていた。
試しに『月ウサギ』も検索してみたが、月に関する伝説や、観光地など、全く関係のなさそうなものばかりが並ぶ。
その中に童謡を発見した。
彼らが空から降りてくるときに歌っていた歌。うさぎ、うさぎと、笑っていた声を思い出す。
無邪気で子供らしい遊ぶ声は、あのときのあの状況ではホラーかと思ったものだ。
試しに音をかけてみるが、見本で歌う声よりも、彼らが歌ったほうがよほど耳障りがよくていい曲だったと思う。

彼のために用意した子供服と靴。
買い足して来た野菜。
人間の世界を見たがる彼をどこに連れて行こうかと開いた観光マップ。
しばらく休業を告げたことに対する大量のメールやメッセージ。

全部全部、1週間だけ自分のモノになった玩具で遊ぶために用意したもの。

「あっはははははは、あははは!!」

臨也はくるりと椅子を回転させた。
気持ちの悪い笑い声にも、眠る小さな子供は目を覚ます気配がない。

「あはは!はー。……面白いなぁ……!」

とりあえず、目を覚ましたら部屋の中にある物を説明して、反応を見よう。
文化を持ち帰っているといったって、電気は見たことあるだろうか。冷蔵庫は?TVは?PCは?
1つ1つ説明して歩くのだ。そしてそれが終われば大事に抱えて、外の世界を見せてあげる。電車も飛行機も、ショッピングモールも、君が望むなら何だって。
臨也は久しぶりに満足そうな表情を浮かべて椅子に全体重を預けるのだった。